佐藤あやみ&田中日菜とUUUM梅景匡之氏に聞く、女性クリエイターネットワーク「reel」が目指すもの
インフルエンサーマーケティングのトップランナーUUUMが現在、メイク・ファッション・ライフスタイル・音楽などのカテゴリで発信を行う女性クリエイターのネットワーク「reel」を展開中だ。いまやインフルエンサーネットワークとして国内最大級の規模を誇り、YouTubeのみならず、InstagramをはじめとするSNS上で、日々新たなトレンドを生み出している。
reelはどんな経緯で立ち上げられ、何を目指すのか。UUUM取締役COOで同事業を主導する梅景匡之氏に話を聞くとともに、実際にreelで活動する佐藤あやみ、田中日菜という人気クリエイターに、動画投稿への思いとreelのサポート体制について語ってもらった。
UUUM取締役COO・梅景匡之氏インタビュー
ーーまず「reel」立ち上げの経緯から教えてください。
梅景匡之(以下、梅景):立ち上げ当時は女性のクリエイター/YouTuberがそれほどに多くなく、他のジャンルに比べると盛り上がっているとは言いがたかったのですが、マーケティングの観点からも、また動画視聴者からも、女性向けのコンテンツが確実に求められていました。いい動画をアップしようとすれば編集技術も必要ですし、インフルエンサーを目指す女性から、YouTubeでの活動を一人で始めるのは大変だと聞いていたので、一から一緒にやっていくような取り組みをしましょう、というのが発端です。
ーー確かに、いまでこそ多くの女性クリエイターが活躍していますが、以前は男性YouTuberのほうが話題になるケースが多かったように思います。
梅景:当時、YouTubeは男性の視聴者が多かったんです。そうすると、メイクやファッションの動画はなかなか伸びにくい。そのなかで、女性の視聴者も増やしたいし、女性のクリエイターの活動の幅を広げていきたいということもあり、何か活動に名前をつけてやることに意味があると思いました。
ーーその後、確かに美容系の市場が盛り上がってきていますが、立ち上げの頃から見越していたのでしょうか?
梅景:そうですね。美容に限らないですが、ファッションなど女性ならではのコンテンツの人気が高まり始めていたのは感じていて。マスメデイア 、企業様からお話をいただくことが増えていたにも関わらず、クリエイターの選択肢があまりない、ということもありました。
ーーUUUMは多くのクリエイターのサポートを行なってきましたが、reelならではの違いはありますか?
梅景:ノウハウを元にクリエイターと一緒に成長していくという理念では近いですし、ベースはそんなに変わらないのですが、女性の場合だと、例えば化粧品や美容器具を紹介する際に、「薬機法」の関係もあり、動画の中で効能をどこまで説明していいのかなど、コンテンツの内容的にも気をつけないといけないものが多い。他のジャンルだと極端な話、モノを買わなくても動画は作れますが、女性の場合はコスメなどを先に購入することもあるので、そういう意味では他のジャンルの方と比べると少し違って、サポートすべき部分は大きいかもしれませんね。
ーーマネジメントされる上で、もっとも大切にしているのはどのような部分でしょうか。
梅景:実際のマネジメント以前に、きっかけ作りが大切だと思います。オーディションプラットフォーム「NOCHISTA」(のちスタ)も運営していますが、興味はあるけれど始めるきっかけがないという方だったり、動画編集にどんなソフトを使うのがいいかわからないという方に対して、きっかけを作ることが大事だと。
ーーさて、「reel」の立ち上げ後、企業からはどんな反応がありましたか?
梅景:立ち上げ当時に比べると、ブランド企業様から色んなお話をいただく機会が増えました。クリエイターのキャラクターや年代によってもマッチするブランドが違うので、さまざまな個性を持った女性クリエイターがいるということは、クライアント様からのニーズを満たす可能性を広げてくれます。クリエイター側も、無理に案件に合わせるのではなく、自分の本当に好きなモノを伝えることができるので、視聴者の方々に対してもより有益な情報発信ができるようになりました。
ーーまた、今回お話を伺う佐藤あやみさん、田中日菜さんの動画を見ていて、動画投稿を開始した1年前よりも、格段に動画編集技術がアップしているように思いました。その辺りはどのようにサポートしていらっしゃるのでしょうか。
梅景:UUUMネットワークもそうですが、編集技術を教える場を定期的に設けています。また、人によって持っているスキルが違いますし、ネットで調べても限界があるので、気軽に質問できる環境が大事だと思います。
ーー各クリエイターに合わせて、オーダーメイドなサポートをしているということですね。ちなみに、reelは今年もオーディションを開催されるのでしょうか?
梅景:現在、NOCHISTA(のちスタ)では常にオーディションを行なっています。reelの中にオーディションを経由して在籍しているクリエイターには「1期」「2期」みたいなものがあって、同じところからスタートしている仲間がいたり、定期的に集まるコミュニティがあることはモチベーションにも繋がるんです。オーディションを通じて支え合う仲間を得るというのは、とても大きなことだと思います。形がいまのままかどうか、というのはありますが、オーディション自体は今後も続けていきたいですね。
ーー最後に、今後の展望についても聞かせてください。
梅景:おかげさまで女性のトップクリエイターも出てきており、活躍する場も広がっています。YouTubeを含めて様々なSNSで彼女たちの発信する場所は増やしていきたいですね。女性クリエイターの場合、以前ですと若年層向けのコンテンツが多かったのですが、今は30代、40代向けのコンテンツも多くなっています。年代によって趣味も変わるし、その時代に合ったコンテンツがある。視聴者も年齢と共に知りたい情報が変わっていくことを考えると、本当は息の長い活躍ができる土壌があると思うので、そのサポートをしっかりやっていきたいと考えています。