中田敦彦が語る、変わりゆくメディアとタレント・YouTuberの環境「Googleがすでにテレビ局みたいになっている」

中田敦彦に聞くタレント・YouTuber論


生きることは、他人に迷惑をかけること

――ちなみに、中田さんの考える、芸人を定義する「イズム」とは?

中田:う~ん。「お笑い」や「芸人」を、定義しようとする発想が、もう古いかなと思います。「落語とはなんですか?」ということを、僕らに聞かれてもわからないじゃないですか。「今の、時代を切り取る仕事の仕方は?」と聞かれるのはわかるけれど、「芸人とは何か?」って、現在論じるべきトピックかな? と思うんです。

――と、いいますと?

中田:だって何を売るのも、自由じゃないですか。お饅頭を売ってもいいし、ショートケーキを売ってもいい。なのに、お饅頭に固執してると、ショートケーキやシュークリームを売る機会を損失してしまう。本当にこの地域はお饅頭が欲しいのか? それともショートケーキなのか? あるいはパンケーキなのか? みたいな。ケーキ屋とはなんぞや? っていうことは論じずに、皆が喜ぶような商品はなんなのかを論じる方が、コスパがいいと考えています。

――本の中でも、ひとつのことに固執する「コンテンツ至上主義」に批判的な立場をとってますね。

中田:みんな、ひとつのコンテンツを愛しすぎて、神聖視しちゃうんです。自分のやってきたことや、かけてきた時間に愛着が強すぎて、そればっかり見てるので執着しちゃう。だから、色々な業界を見た方がいいと思うんです。先日、「Amazon Fashion Week TOKYO」というイベントを見に行きました。僕からすると「音楽の使い方、雑だなー」とか思ったけど、そこがむしろイノベーションに繋がっていくんだろうとも感じます。今、「幸福洗脳」というブランドをやっていますが、ファッション業界に来た時も、まず「そもそも皆、そんなにオシャレな服が好きか?」というところからスタートしました。他のジャンルから来た人だからこそ、気づくこと、わかることってあるじゃないですか。それを僕は面白いと思うし、同じジャンルの人たちとばかり喋っていると、本当に「洗脳」されちゃう。「こういうYouTubeはダメだ」とか「こんな芸人はゴミだ」とか。でも、それって、他のジャンルの人からしてみたら、どうでもいいことが多いんですよね。

――ありがとうございます。「リアルサウンド テック」は、YouTuber世代の若い読者も多いメディアです。最後に読者へのメッセージをお願いします。

中田:とにかく、なんでもやってみるのが一番ですよね。結局、「やりたいことして、食べていく」ことに憧れはあるけれど、皆怖いんですよね。ほとんどのビジネス書には「やれ」って書いてあって、それを読んで「ああしたい、こうしたい」と口では言うけれど、やらないんです。つまり、皆失敗を恐れているんですよね。そもそも、それは教育の問題で「人に迷惑をかけてはいけません」って教えるじゃないですか。それは矛盾しているんです。生きることは、他人に迷惑をかけることだから。

――たしかに、本の中でも、失敗の連続だったとありますね。

中田:僕は自分のラジオ番組(「中田敦彦のオールナイトニッポンPremium」)で、「幸福洗脳」の進捗を逐一報告していたんですけど、引き返すしUターンもするし、大失敗や大間違いの連続でした。その過程を見せたかった。「幸福洗脳」も、これだけで生活できるくらいの収益をあげている。それは僕の中では「成功」なんですね。そうやって、失敗の連続の中で、少し成功することがある。だから、もしこれを読んでいる人が、「YouTuberになりたい」と思うのであれば、それで上手く行く道もあるだろうし、仮に失敗したとしても、また何か別のことをした時に、YouTubeをやった経験はどこかで生きるはず。だから、考えている時間があったら、その間に動画をアップロードしたほうがいい。そしてコメントを見て反響を確認して、改善していけばいい。YouTubeに向いてるかそうでないかも、真剣にやればすぐわかるだろうし。シンプルな言葉でいえば、「Just Do It.(行動あるのみ)」ですね。

(取材・文=藤谷千明/写真=伊藤惇/編集協力=斎藤岬)

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