Appleの新サービスたちに勝算はあるのか? 競合多い『Apple TV+』などを改めて分析

Apple新サービスの勝算は?

 競合も多い定額制映像配信サービスの領域において、Appleに勝算はあるのか? 同氏は、以下のようなポイントを挙げた。

「『Apple TV+』は、現在NetflixやHulu、Amazonといったリビングで見る映像配信サービスに満足していない人たちや、YouTubeで動画を見ているティーンエイジャーに対し、初めて納得できるプレミアムコンテンツを提供することが狙いなのかもしれません。利用者を増やす方法として、Apple Musicを普及させた時と同じように、デバイスにあらかじめ紐づけたり、Apple Musicとバンドル契約をさせるなどの方法を取ることが考えられます。現在ハードとして価格帯が下げられなくなってしまったiPhoneですが、映像配信サービスはオリジナルコンテンツを見るライフスタイルという価値を加えることができます。アップルのサービスが“生活の中で必要不可欠なもの”になれば、ハード部門のビジネスにも繋がるでしょう」

 続けて、『Apple News+』『Apple Arcade』にはある共通点が存在すると話す。

「『Apple News+』も『Apple Arcade』も、自分たちが選んでいるということを強調しているように感じました。『Apple News+』では、アルゴリズムでユーザーに適した記事を提供する他のニュースアプリやSNSと違って、人間がキュレーションして“編集”を行うことの重要性を語っていましたし、『Apple Arcade』はゲームプラットフォームでありながらAppStoreのような無数の配信ではなく、Appleが選んだゲームのみが遊び放題の対象です。

 受け取り方によっては横暴な振る舞いと思う人も多いかもしれませんが、ここまでプラットフォームとしての力を持ったからこそのことですし、ここまでくるとダウンロード数で勝負してきた今までのアプリ開発のやり方とは異なり、“『Appleのビジョンとうまくパートナーが組める人”はどんどん強くなっていく』ような状態が今後は生まれてくるかもしれません」

 Appleにとっても大きな転換点といえる今回の発表イベント。ここで打ち出された新サービスが、市場をどこまでかき乱すのかにも注目だ。

(文=中村拓海)

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