SHS-500、RK-100SP、AX-Edge……ライブにも重宝しそうなショルダーキーボード4選
毎回、気になる楽器や機材を紹介する本コラム。今月は、再びブームが訪れているショルダーキーボード(キーター)を紹介したい。
ショルダーキーボードとは、シンセサイザーの鍵盤部分をギターのように肩からストラップで吊るし、演奏出来るようにした楽器のこと。YAMAHAのKX5、RolandのAX-1、KORGのRK-100など80年代から90年代初頭にかけて各メーカーから発売されたショルダーキーボードは一斉を風靡し、スティーヴィー・ワンダーやハービーー・ハンコック、日本では小室哲哉や坂本龍一、難波弘之らがライブなどで使用していた。
まるでギターのようにシンセを演奏する彼らの姿は衝撃的で、当時は多くのキーボード少年たちにとって憧れの的だった。が、90年代に入るとブームは去り、一時期は「ダサい楽器」の代表格のような扱いをされ、近年はどのメーカーもショルダーキーボードの生産をやめてしまい絶版状態が続いていたのだった。
ところが、ここ数年の80年代ブームによって再びショルダーキーボードが熱い注目を集めている。すでにRolandやAlesisはショルダーキーボードの現行モデルを発売しており、さらに『The NAMM Show 2019』では、YAMAHAとKORGからもそれぞれ新製品、新バリエーションモデルが発表されたのだ。
ちなみにショルダーキーボードは和製英語であり、英語圏では「キーター(keytar)」と呼ばれている。もちろん、GuitarとKeyboardを組み合わせた造語だ。ちなみに日本でおなじみの略語「ショルキー」はヤマハの登録商標である。
YAMAHA「SHS-500 sonogenic」
まずは、YAMAHAが『The NAMM Show 2019』にて発表した、アプリと連動してキーボードプレイをたのしむことができる「SHS-500 sonogenic」(以下、SHS-500 )を紹介しよう。こちら、すでにヤマハが発売している「ボカキー」ことVKB-100(ボーカロイドの機能を搭載した「歌うキーボード」)の筐体をベースにしたモデルで、薄型のスタイリッシュな形状が印象的だ。
鍵盤はミニタイプの37鍵で、シンセサイザーからドラムの音色まで30種類のプリセットを搭載。ピッチベントやモジュレーションホイールなど、様々なコントローラーを装備し多彩な音色を楽しめる。
また「SHS-500」は、シンセサイザーなどの外部デジタル機器と接続できるMIDI端子はもちろん、スマートデバイスにインストールしてある音源アプリも楽しめるBluetooth MIDIも搭載している。中でもユニークなのは、無料アプリ「Chord Tracker」。これをJam Modeにした「SHS-500」と連動させると、手持ちの楽曲とセッションができる。どのキーを押しても、自動的に楽曲のコードに追従するため、音階やコードを知らなくても演奏できてしまうのだ。
ただし、「Chord Tracker」のコード判定機能は、すべての楽曲に対応出来るわけではないので、あらかじめ確認することをオススメする(「Chord Tracker」と相性の良い、YAMAHAが作成したレコメンドソング集を参照に)。
すでに国内での発売も決定。SHS-500B(ブラック)、SHS-500RD(レッド)の2種類で展開予定だ。
KORG「RK-100SP」
続いて紹介するのは、KORGが『The NAMM Show 2019』で発表した、ショルダーキーボード「RK-100S」のカラーバリエーションモデルのプロトタイプ「RK-100SP」シリーズ。
「RK-100S」は、1984年に登場した人気リモートキーボード「RK-100」のアップグレードバージョン。「RK-100」のエッセンスはそのままに、現代のパーツで置き換えたスリムかつコンパクト(&軽量化)を実現し、デザインも現代的に蘇った。
2つのリボンコントローラーやアルペジエーター、ヘッドセットマイクを使ってのボコーダープレイなど、ショルダーキーボードでのパフォーマンスには欠かせない機能ももれなく搭載。予め登録しておいた音色をワンプッシュで呼び出せる「フェイバリット・ボタン」機能など、ライブでも重宝しそうな名機だ。が、すでに生産終了となっており、多くのユーザーから「復活」が待たれていた。
今回、『The NAMM Show 2019』に登場した「RK-100SP」は4色。迷彩を思わせる木目柄やシックなブラウン、ちょっと懐かしいカラーリングの青、赤と、レトロな雰囲気が印象的。リリースの正式発表を楽しみに待ちたい。