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人生を見つめ直すきっかけに……自分探しタップゲーム『ALTER EGO』が教えてくれること

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 まず結論から書いておきましょう。今回ご紹介する『ALTER EGO』(2018~)は夜に1人で、可能なら部屋の電気を全て消すか、就寝直前に布団の中でプレイするのをオススメします。少なくとも私は、このプレイスタイルが一番気に入っています。

『ALTER EGO』公式サイト

 『ALTER EGO』はアドベンチャーゲームであり、性格診断アプリです。プレイヤーは画面に表示されるアイコンをタップして、「EGO」というゲーム内ポイントを集めます。EGOが一定数に達すると、今度は「本」が読めるようになります。なお、登場する本は『人間失格』『山月記』など、現実に存在する作品です。今度はこの本を読むわけですが、ここでも求められるのはタップのみ。かなりシンプルな作りのゲームです。手触りは2013年ごろ局地的に話題になった『クッキー・クリッカー』(画面をクリックしてクッキーを作るゲーム。進めていくと「反物質コンデンサ」などのアイテムが手に入り、効率的にクッキーを作ることができる)に近いでしょう。

 ただし、このゲームはアドベンチャーゲームでもあります。本を読み進めると、次はイベント・パートが解放され、エスという女性との選択肢を含んだ会話をすることができます。ここがゲームの肝でしょう。エスはプレイヤーに対して冷淡で、時に「あなたの首を絞めたい」と物騒なことを言い出す御方。プレイヤーはエスの謎に迫りつつ、彼女との関係性を深めていきます。エスとの物語はマルチエンディング形式で、選んだ選択肢によって物語は変化していき――と、典型的なアドベンチャーですが、本作の白眉はエスが会話中にプレイヤーの性格診断をしてくれることでしょう。これがゲームへの没入感を飛躍的に高めているのです。

 本作の公式ジャンル名は「自分探しタップゲーム」。エスから提示される選択肢に答えると、かなり詳細にプレイヤーの「性格」を語ってくれます。この手の性格診断は全く当てはまらないことも多いのですが、本作の精度はけっこう高いです。そして、自分の性格、特に普段の生活では目を背けていた所を言い当てられると(加えてエスは冷淡なので、かなりズバズバ言ってきます)、やはりドキっとするもの。ゲーム内のキャラに現実のことを分析されると、途端にゲームと現実の境界が曖昧になり、没入感が高まります。ゲームとは言え、他人に「あなたはこういう人でしょう?」と読まれてしまったら、どんな気分になるか、想像してみてください。

 そして、こういったゲーム性を100%楽しむ為にオススメしたいスタイルが、最初に書いた夜に1人で、可能なら部屋の電気を全て消すか、就寝直前に布団の中で遊ぶスタイルです。本作には基本的にド派手な演出も複雑な操作もありません。BGMも静かで、ただ淡々と画面に現れるEGOのアイコンをタップするのみ。また、この手の性格診断系のテストに本気で答えるのは、なかなか照れくさいもの。それに周りに人の目がある状況や、生活音(雑音)がある時間帯では、どうしても集中できないでしょう。本作の「タップするだけ」というゲーム性も、良くも悪くも単純作業であり、寝る前に遊ぶのにちょうど良い緩さと言えるでしょう。それに何よりEGOのアイコンに書かれている言葉を噛みしめるには、一人でいることが一番です。

 プレイヤーがタップするEGOアイコンには、短い文章が書かれています。「私って何?」「きっといつか自分は失敗する」と言った何か胸に引っかかるプレイヤーへの問いかけ。そして現実に存在する「本」からの引用です(最初の方に解放される『人間失格』なら、「恥の多い生涯を送って来ました」「人間、失格」など)。前半でも書いているように、本作は基本的にタップを行うだけです。しかし、こうした言葉に繰り返し触れているうち、どこかで言葉が“引っかかり”、「私って何?」なんて普段は考えないことを考えてしまうのです。これもまた本作を特別なゲームにしている大きな要素。「自分探しタップゲーム」というコンセプトを見事にゲームという形に落とし込んでいると言えるでしょう。

      

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