ゲーム配信の雄=Twitchは、なぜ日本市場を重要視するのか? 同社SVPマイケル・アラゴン氏に聞く
ユーザーファーストが何よりの強み
ーー視聴者がストリーマーを直接支援するものとして、「ビッツ(投げ銭)」の仕組みもあります。チップなどの文化がない日本に馴染むかどうか、というところですが、現状ではどうでしょうか?
マイケル:確かに日本では馴染みのない文化だと思うのですが、利用者は着実に増えています。モバイルゲームで課金することも当たり前になってきましたし、チップというより、楽しみの一つになっているような感覚ですね。ビッツを提供するとクリエイターから直接リアクションをもらえることもありますし、今後は画面上に派手なエフェクトがかかるなど、よりクリエイターの支援が楽しくなる演出を考えていきたいです。クリエイターにとって重要な収入源の一つになっており、よりビッツを獲得するためのノウハウも、クリエイターキャンプで展開しているところです。
ーーさて、動画配信プラットフォームとして、競合他社との優位性についてはいかがでしょうか。
マイケル:TwitchはAmazonと同様、他社との競争というより、カスタマーを第一に考えます。Twitchの場合、カスタマーはクリエイターですから、そこで「クリエイターファースト」になるわけです。パートナー、クリエイターがより多くの収入を得て、Twitchで生活ができるように、ということを追求しており、そのために広告、サブスクライブ、ビッツなど、収益化の手段を様々に用意している。この点は、他社に負けない強みだと考えています。また、このような取り組みから現在、Twitchには多くの人気クリエイター、ゲーム配信者が集まり、コンテンツが充実していますので、それが視聴者の方々に選んでいただけるアドバンテージになっている。アーカイブよりライブのシェア、インタラクティブという部分に注力しているのも差別化できる部分ですね。
ーー5G回線含め、通信環境が拡充していく中で、今後はどんなサービスを開発していきますか?
マイケル:やはりクリエイターの希望次第ですね。よりスムーズに配信したいのか、美しい映像で届けたいのか。いまもクリエイターの声を聞き、エンジニアが常に新しい仕組みを開発していますので、技術の進化で可能になるか精査しながら、あくまでクリエイターが求めるものを取り入れていきたいと思います。また、例えば5Gが導入されれば、ゲーム業界は大きく変わるでしょう。日本はゲームを作り、届ける立場の国ですから、「日本がどう変わるか」ということをしっかりウォッチし、そのノウハウを海外に展開していくことになるでしょう。その意味でも、日本市場は非常に重要だと捉えています。
(取材・文=橋川良寛)
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