ライブ配信で拡大するゲーム市場 ライブコマースを超えるトレンドとなるか?
ライブ配信をしながら商品を販売する「ライブコマース」が注目を集めている。本記事ではその隆盛と、国内外で胎動しつつある、ライブ配信の掛け合わせによって既存のユーザー体験を昇華させることに成功したサービスやアプリを紹介していこう。
ライブコマースの隆盛
「ライブコマース」は2016年、中国で大流行となった。中国におけるライブアプリのユーザー数は、3億2,500万人にも上ると言われ、中国のネットユーザー数全体のおよそ半数に及ぶ。中国のEC市場最大のイベント「独身の日」の特売セールが行われた同年11月11日には、アリババのECサイトで約1兆9,000億円を売り上げるほどの盛り上がりをみせた。
翌2017年、そうしたライブコマースの勢いは日本にも押し寄せてきた。いち早く市場に参入した株式会社Candeeは、ライブコマース用プラットフォーム「Live Shop!」をリリース。“ゆうこす”こと菅本裕子さんのように、インフルエンサーが自身のチャンネルを開設し、ライブ配信を通してファッションアイテムやコスメを販売するケースもある。また、フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリからは「メルカリチャンネル」、ショッピングアプリ「BASE」を運営するBASE株式会社からは「BASEライブ」がリリースされるなど、国内でライブコマースサービスを展開する企業は続々と増えてきている。
ライブコマースが実現するのはインタラクティブなコミュニケーション、そしてよりリアルなショッピング体験だ。従来のテレビショッピングとは違い、リアルタイムで配信者とコミュニケーションを取れるため、よりリッチな商品情報を受け取ることができるようになっている。また、“信頼できる人物によるレコメンドから”商品を購入できることで、消費体験が向上するなどのメリットもある。リアルタイムで実店舗で買い物をしているような臨場感や満足感を得られることもあり、ライブコマースはいま、小売業態において最も注目されているサービスだといえるだろう。
ライブ配信でリニューアルされる“枯れたサービス”たち
ライブ性をサービスやアプリに掛け合わせたものとして、現在は「コマース」に注目が集まるが、ライブ配信を掛け合わせたサービスは他にもある。
◾️【ライブ×フィットネス】Pelotoncycle
「Petoloncycle」は、ライブレッスン付のフィットネスバイクだ。ユーザーは、2,000ドルで指定の室内用フィットネスバイクを購入する。バイクにはモニターが付いており、ライブストリーミングで配信されるレッスンを受講することができる。
健康維持のためには継続した運動習慣が不可欠だが、指定の場所で開催されるレッスンに通い続けることは、容易ではない。そうはいっても、人知れず一人でトレーニングを継続していくためには、相当な根気が必要だ。
「Petoloncycle」のレッスンはニューヨークにある同社スタジオから配信されているが、インストラクターは自宅にいる人に向けても掛け声をかけてくれるし、モニターには自分の“順位”が表示される。
ライブ配信による、ユーザーはインストラクターや他の受講者などの「他者」を意識してトレーニングに打ち込むことができるのだ。「一人ではない」という意識が、継続的な運動習慣を身につける手助けになっている。
◾️【ライブ×クイズ】HQ Trivia:ライブ型クイズアプリ
「HQ Trivia」は、元Vine創業者が立ち上げたクイズアプリだ。ユーザーはアメリカ東海岸時間の毎日午後3時と午後9時の1日2回、15分間配信されるクイズ番組に参加できる。優勝賞金があらかじめ決められており、見事クイズに全問正解したユーザーには、賞金が平等に分け与えられるというものだ。
いつでも視聴可能なオンデマンド配信とは違い、限られた時間にしか視聴できないライブ配信だからこそ、ユーザーは配信時間を今か今かと心待ちにする。 2018年1月には、世界中から160万人ものユーザーが参加したほど、熱狂を呼んだ。
古典的なエンターテインメントであるクイズも、ライブ配信型で発信することにより新たな形のエンターテインメントになる。中国や日本、インドネシア、タイなど世界各地からライブ型クイズアプリが続々登場しており、エンターテインメントの新たな可能性を切り開くモデルケースとなりそうだ。