森ビル×チームラボの常設ミュージアム登場 500台超のマシンによる“境界のないアート”に迫る
2018年6月21日(木)にお台場にオープンする、森ビルとチームラボによるデジタルアートミュージアム「MORI Building DIGITAL ART MUSEUM: EPSON teamLab Borderless」。オープンに先立ち、プレス内覧会が開催された。
森ビル株式会社 杉山央氏によると、プロジェクトのスタートは3年前。森ビルとチームラボの強みを書き合わせた新しい施設づくりを進め、この場所ならではの展示空間が生まれた。
猪子寿之氏が語る、境界のない実験的なアート世界
ミュージアムのテーマは「チームラボボーダーレス」。自然界にある花や水、動物などがデジタルアートとなり、空間中に広がる。ここに展示されている作品群には明確な境界線がなく、アート作品の中に描かれた蝶や動物たちは、部屋から部屋へ移動するなど常に変化。また人の動きに反応したり、実際の季節にあわせて風景も変わったりするため、その場に居合わせた人、時期によっても違うアートを目にすることができる。
今回のミュージアムについて、チームラボ代表の猪子寿之氏は「刻々と変化する、その場にいる人と一緒に新しい体験を作っていく場所」と言う。
「この場所は、自分たちでつくり運営していくことで、より自由で創造しやすい環境につながると考えています。今まで以上により多くの実験的な試みをやっていけるのではないかと、期待しています」
例えば、この部屋にいる蝶がほかの部屋に移動することで、その部屋にいるほかのものが外に押し出されるなど、作品がコミュニケーションし合うようになっている。
「これは我々では制御できないもの。520台ものコンピューターが、蝶の動き1つについても通信しあって動いています。お客さんには直接的に関係ないところではありますが、これは実験的な試みです。普通の人が重要だと思わないところで、挑戦を行っているのです」
そのひとつに無数のライトが演舞のように動くムービングライトがある。その装置だけでも、実は「すごいもの」とのこと。作品を見るものに気付かせない裏側の仕組みがあるようだ。
今は光と形の研究をしているとのことで、今後については「連続的な境界がなくつながっていくようなひとつの世界を作っていきたい」と今回のテーマ「チームラボボーダレス」につながる抱負を語っていた。
全身で世界に溶け込める没入感!
実際に筆者もミュージアムを体験させてもらうことに。美しいデジタルアートが動く空間に身を置くと、まさにその中の一部になったかのような没入感。視覚だけでなく音や全身で体感できるものも多く、見るだけでは終わらない、新しい常設アート空間だ。
その中でも注目を集めそうな展示は、注がれたお茶に花が咲く「EN TEA ART」。茶器を持ち上げると、それまで咲いていた花が可憐に散っていく。その様子が楽しくて、何度も花を咲かせては散らすという動作を繰り返してしまった。
イベントだけでは実現できなかったチームラボの新しい試みを体験できる、変化し続ける新しい常設ミュージアム。お台場の新しい名所になりそうだ。
公式サイト
https://borderless.teamlab.art/jp/
(取材・文=ミノシマタカコ)