映写機のない上映システム「LEDシネマスクリーン」 スピルバーグ監督らから批判も
現地時間4月23日から26日にかけて、米ラスベガスのシーザーズ・パレスにて開催されたシネマコンで、“LEDシネマスクリーン”が大きな話題を呼んだ。
シネマコンとは、毎年春にラスベガスで開催されている興行関係者向けの映画産業のコンベンションで、豪華なハリウッドスターや映画監督たちがゲストで登場したり、メジャースタジオの話題作の初映像が公開されたりと、映画関係者の間でも注目が集まるイベントだ。
話題作の情報はもちろんだが、シネマコンは主に映画興行主に向けたコンベンションのため、さまざまな新技術の最新情報が発表されるのも醍醐味のひとつ。ここで大きな話題になったのが、前述のLEDシネマスクリーン。
有機ELに続く次世代ディスプレイとして注目を集める、マイクロLEDという新型パネルを搭載した次世代テレビを年内に発売することでも話題のサムスンだが、2017年にはLEDシネマスクリーンを設置した、世界初の映写機のない上映システム“スーパーS”上映館をロッテシネマにオープンした。映写機を使用しないLEDシネマスクリーンは、解像度が4Kで、画面自体がテレビのように発光するため、劇場用映写機と比べてより画面が明るくなり、コントラストも鮮明になる。韓国以外にもすでに、スイス・チューリッヒ、タイ・バンコク、中国・上海の映画館にも導入されている。
そして4月20日、アメリカで初のLEDシネマスクリーンが、カリフォルニア州チャッツワースにあるPacific Theatres Winnetkaでベールを脱いだ。
映画の誕生以来使用されてきた劇場の投影システムからの抜本的な移行を示すLEDシネマスクリーンだが、サムスンのスティーヴン・チョイ副社長は、「これまで劇場には観客を引き込むための新しいことが何もなかった」と述べ、「『ワオ』というような驚きの要素を観客に提供するには、新しい体験が必要だ」と主張。なおサムスンは、劇場の新しいLEDスクリーンで上映する映画を準備するために、ポストプロダクション施設を作り、映画製作者たちがLEDディスプレイで制作中の作品を観ることができるようにしたいと考えているそうだ。【参考:How the New LED Cinema Screen Could Change Filmmaking and Moviegoing】