「幕末志士」とはいったい何者なのか? 『メイプル』コラボ&『進撃2』公式実況の最強ゲーム実況コンビに迫る
気になるゲーム実況動画&実況者をレコメンドする本企画。今回はこの3月、人気MMORPG『メイプルストーリー』とのコラボ、『進撃の巨人2』の公式実況など、活発な活動を見せている実況コンビ「幕末志士」をご紹介しよう。
もちろん、ゲーム実況が好きなら知らない人はいない有名実況コンビだが、「いったい何者なのか」と気になっている人もいるはずだ。グーグルで「幕末志士」と検索すれば、現実に存在した坂本龍馬でも西郷隆盛でも、吉田松陰でも勝海舟でもなく、謎の実況コンビの情報がずらりと並ぶ。「ゲーム実況」というシーンを知らず、普通に幕末志士について調べようと検索した人は、しばしポカンとするに違いない。
彼らが「幕末志士」として初めて動画を投稿したのは、2008年9月。『幕末志士達のくにおくん時代劇実況』と題し、ゲームの世界観に合わせて、坂本龍馬/西郷隆盛に扮して“ござる口調”で実況する、というものだった。坂本の独特なワードセンスが光るマシンガントークと、強烈な誘い笑いをもたらす西郷のリアクションが視聴者に受けていたが、本格的にブレイクを果たしたのは、同年12月に投稿された『【マリオ64実況】奴が来る 壱【幕末志士】』。マリオシリーズでおなじみの「1upキノコ」(どこまでも追いかけてくる)を“悪魔”に見立て、逃げ回りながらコインを集める、という縛りプレイだ。度重なる投稿の遅れが「幕末式工作法」(続編をいつ公開する予定、という情報を動画の説明文に書き込むことで、その度に期待したファンが動画に訪れ、再生回数が上がっていく、という現象)と揶揄されるなど紆余曲折あり、このシリーズは2009年7月に投稿されたパート6で事実上完結しているが、ニコニコ動画上で累計約4000万再生という爆発的なヒットになっている。
ゲーム実況の金字塔となっているのは、2014年2月に投稿された『幕末志士達のスマブラ64実況プレイ』だ。かつて『大乱闘スマッシュブラザーズ64』の有名プレイヤーだった西郷と、あの手この手で勝利をもぎ取ろうとする坂本の対戦動画だが、編集なしの一発録り(納得がいく動画が撮れるまで膨大な時間、収録を行ったそうだが)とは思えない面白シーンの連続で、現在ではニコニコ動画上で1500万再生に届こうかという再生数を獲得している。2015年8月に投稿され、わずか2日で100万再生を突破した『幕末志士達のマリオカート64実況プレイ』とともに、当人たちは「極みシリーズ」と呼んでおり、会員限定のラジオ放送では、頭を空にして喋りながらでも自然にプレイできるようになるまで、あらためて100時間単位で練習していることが明かされた。それだけに、ゲーム自体の面白さも存分に引き出されており、初見の視聴者にもおすすめできる動画になっている。
二人は顔出しもせず、またイベントに出演したり、他の人気実況者とコラボレーションしたり、ということも基本的に行わない。また、動画の投稿頻度も低いため、一般知名度はそれほど高くないと思われる。そのなかで驚くのは、ニコニコ動画上だけで、月額500円のチャンネル会員が限定で見られるラジオ動画(ニコニコ生放送をアーカイブしたもの)に、100万再生を突破するものが出てきていることだ。3月25日現在では、坂本が深夜のテンションで投稿した“痛ツイート”に元バンドマンの西郷が曲をつけたオリジナル楽曲が披露された放送回が100万再生を超えている。楽曲を目当てに繰り返し視聴するファンが多いため、「100万人が見た」わけではないが、地上波で人気の芸能人でも「有料の個人チャンネルで100万再生」は決して簡単ではないだろう。