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「物事の論理と主観は我々の軸の中の精神の糧となる」——この発言に彼のテクノに対する真摯な態度と思想/哲学が集約されている。
“ターンテーブルの魔術師”との異名をもつジェフ・ミルズは、テクノの前進に多大な貢献をしてきた人物である。デトロイト出身の彼は80年代後期に音楽活動を開始。地元ラジオ局WJLBのDJ、エレクトロ/ボディ・ミュージック・バンドFinal Cutでの活動を経て、90年にマッド・マイクと共にアンダーグラウンド・レジスタンスを結成する。攻撃的なエレクトロニック・サウンドと挑発的なスローガンを掲げ、当時のハードコア・テクノ・ブームの猛火に油を注いだ。
92年にはソロ・デビューを果たし、ロバート・フッドと共に<Axis>レーベルを設立。『X-102』『X-103』『Waveform Transmission』シリーズ、「Mecca EP」といったプログレッシヴな大傑作を残してきた。そして、その究極と言えるのが94年に発表したアナログ12インチ・シングル「Cycle 30」である。それは盤面に独立した8本の溝がループして刻まれており、針をのせた時点から4小節のハード・エッジなリズム・トラックが永遠に鳴り続けるというアヴァンギャルドなものであった。後に<Purpose Maker><Tomorrow>レーベルも立ち上げ、ダンス/実験志向と、それぞれにまったく視点の異なるミニマリズムを追求している。——DJプレイでは3台のターンテーブルとリズム・マシンを駆使。わずか数十秒間で矢継ぎ早にレコードをすり替え、千手観音の如くイコライジング/ミキシングを正確無比に繰り広げる様はまさに“魔術師”そのものである。