『スピナーベイト』は今夏イチのダークホース! 此元和津也原作の映像化、怒涛の展開を総括

『スピナーベイト』は今夏イチのダークホース

 第9話を終え、いよいよ大詰めを迎えた『スピナーベイト』(フジテレビ)。

 リアルサウンドでは、最終話に向けて盛り上がりを見せる『スピナーベイト』を3週連続で特集。第10話放送後には、主演の加藤清史郎と平瀬遼太郎監督による対談の前編、最終話となる第11話放送後には、その後編をお届けする。

 その第1弾となる今回は、第9話までの内容を振り返りながら、本作の魅力について書いてみようと思う。

※以下、『スピナーベイト』第9話までのネタバレを含みます

少年たちを狂わせる“正義”と“暴力”

 本作は、少年たちの鬱屈と暴走を描いた青春クライムサスペンス。

 表向きは高校のフィッシング部として活動するスピナーベイトは、町の平和を守る正義の自警団だ。しかし、実際にやっていることは恐喝で、犯罪者に制裁を加え、罰金と個人情報を徴収しては、元締めの暴力団・亀貝組に上納していた。犯罪者を捕まえた者には、罪の重さと罰金に応じたポイントが付与される。その数値の優劣がスピナーベイト内の序列となり、メンバーはトップに絶対服従し、最下位はいじめに遭う、最下位はいじめに遭う。

 事なかれ主義の平凡な高校3年生・三井宏太(加藤清史郎)は、親友の内新次郎(萩原護)に誘われてスピナーベイトに加入したが、ポイントがゼロだったため、肩身の狭い思いをしていた。そんなある日、世間を騒がせている連続殺人犯を捕まえた者には、ポイント300と報酬100万を与えると亀貝組から言われる。部員たちが殺人犯の行方を追う中、三井はスピナーベイトを抜けたいと思っていた。そんな彼の前に吉見健太郎(駿河太郎)という謎の男が現れる。

 吉見は連続殺人犯が落とした手帳を拾ったと言い、その手帳に、スピナーベイトの高橋泰人(吉澤要人)と自分の名前が書かれていたため、次に殺されるのは高橋か自分かもしれないと、三井に言う。連続殺人犯を探すため、三井は吉見と行動を共にするようになる。

 物語は、自警団内での序列争いに縛られ、連続殺人犯を追うことになったスピナーベイトの少年たちの姿を追いかけていく。物語冒頭、三井の教師が「ルール」について語る姿が描かれる。教師は、ルールが必要なのは善悪の判断ができない人間がいるからで、ルールそのものが正しいかどうかには意味はない。そして、学校も一つの社会であり、社会にいる以上、ルールに従わなければならないと語るのだが、教師の言葉は社会のルールから外れているスピナーベイトにも、そのまま当てはまる。

 本作は少年たちの鬱屈を、犯罪を通して描いた青春ドラマだが、面白いのは、社会の象徴である学校のルールの外側で活動しているスピナーベイトの方が厳しいルールに縛られていることだ。普通の青春ドラマなら、大人が強いる社会のルールから自由になろうとする子どもたちという図式で描かれるものだが、子どもたちが作るスピナーベイトもまた、別の社会なのだと言うことが観ていて伝わってくる。

 三井以外のスピナーベイトの高校生たちは積極的に犯罪者を探し出し、ポイントを稼ごうとする。やがて内新次郎も、最初の制裁に成功して以降は自警団の活動にのめり込むようになり、単独最下位に転落した三井をいじめる側に回ってしまう。しかし、三井は吉見から渡された500万円を彼の個人情報といっしょに上納することで、一気に500ポイントを獲得して、序列が1位になる。この序列争いの攻防戦には、ゲーム的な面白さがあり、目が離せない。

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