『Tシャツが乾くまで』は令和の『カルテット』に? 生方美久×土井裕泰の化学反応に期待

生方美久の新作は令和版『カルテット』?

 『silent』以降も生方はフジテレビでオリジナルドラマの脚本を執筆。2023年に『いちばんすきな花』、2024年に『海のはじまり』、そして2025年のクリスマスにFODで先行配信された後、2026年に地上波で放送された全4話のドラマ『嘘が嘘で嘘は嘘だ』を手掛け、ドラマ脚本家として注目されている。新作を発表する度に、彼女の作家性は先鋭化しており、今や生方ワールドとでもいうような独自の世界観を生み出しているのだが、強い影響を感じるのは、生方がファンだと公言している坂元裕二のドラマだ。

 坂元裕二は第1回フジテレビヤングシナリオ大賞の大賞受賞者で、大ヒットした『東京ラブストーリー』(フジテレビ系)を筆頭に、その時代時代のラブストーリーを書き続けているベテラン脚本家だ。2010年以降、坂元は会話劇や構成を洗練させることで作家性を確立し、彼にしか書けない独自の作品を生み出し続けている。

 そんな坂元が近年、もっともタッグを組んでいるのが、今回の『Tシャツが乾くまで』のチーフ演出を務める土井裕泰だ。土井は『猟奇的な彼女』(TBS系)と『カルテット』(TBS系)という2本の連続ドラマ、そして『花束みたいな恋をした』と『片想い世界』という2本の映画で、坂元と組んでいる。中でも大きな反響を呼んだのが『カルテット』だ。本作は、松たか子、松田龍平、満島ひかり、高橋一生が演じる4人の演奏家が弦楽四重奏のカルテットを結成して、軽井沢の別荘で共同生活を送るという物語なのだが、4人の男女の素性も物語も謎だらけの不思議なドラマだった。

 『Tシャツが乾くまで』の謎に満ちたあらすじと、一癖も二癖もありそうな登場人物の紹介を読んで、このドラマは生方美久にとっての『カルテット』になるのではないかと思った。
これまでの生方作品では、偶然知り合った「2人組を作ること」が苦手な男女4人が、集まって会話を繰り広げる姿を描いた『いちばんすきな花』が『カルテット』と近い構造の物語だったが、土井がチーフ演出を務める『Tシャツが乾くまで』は、彼女なりの『カルテット』に対する返答となるのか? それとも、全く別のドラマになるのだろうか。フジテレビからTBSに舞台を移し、土井裕泰とタッグを組むことによって生方ワールドにどのような変化が生まれるのだろうか? 第1話の放送が楽しみである。

■放送情報
金曜ドラマ『Tシャツが乾くまで』
TBS系にて、7月10日(金)スタート 毎週金曜22:00〜22:54放送
U-NEXTにて、各話放送直後より配信
Netflixにて、7月11日(土)より国内配信、その後海外にて順次配信
出演:蒼井優、中島歩、高橋文哉、齋藤飛鳥、庄司浩平、飛永翼(ラバーガール)、久保田薫、夏帆、臼田あさ美、リリー・フランキー、松山ケンイチ
脚本:生方美久
演出:土井裕泰、塚本連平、小牧桜
音楽:haruka nakamura
主題歌:スピッツ「見知らぬ糸」(Polydor Records)
プロデューサー:千葉行利、宮川晶
製作:ケイファクトリー、TBS
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/tshirt_ga_kawakumade_tbs
公式X(旧Twitter):@tshirts_tbs

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる