『Tシャツが乾くまで』は令和の『カルテット』に? 生方美久×土井裕泰の化学反応に期待

生方美久が初めてTBSで脚本を執筆する連続ドラマ『Tシャツが乾くまで』が、7月10日より金曜ドラマ枠(TBS系金曜22時枠)で放送される。
本作は、2組の夫婦の喪失から始まる愛と秘密の物語。40歳の咲子(蒼井優)は、結婚情報誌の編集担当として出版社で働いている。仕事は優秀だが、私生活では面倒くさがりで、少し抜けている部分もある咲子は、何事もまっすぐ純粋に受け取る性格で、愛する夫と幸せな結婚生活を送っていた。だが、もう1組の夫婦とある事故に巻き込まれたことがきっかけで、咲子と夫の日常は突如として崩れてしまう。

主演は咲子を演じる蒼井優。他の出演者は、製菓メーカーで働く生真面目だが不器用な、ちょっと残念な男・樹生を演じる中島歩。一見社交的に見えるが、人と深く関わらない低体温でドライな喫茶店店員の直人を演じる高橋文哉。明るく天真爛漫だが、どこかつかみどころがない主婦・あずさを演じる夏帆。そして無自覚な人たらし男の喫茶店オーナー・充を演じる松山ケンイチ。
この5人が物語の中心となるようだが、この5人の苗字が公開されていないことが気になる。あらすじと人物紹介を見て、蒼井優と中島歩、高橋文哉と夏帆が夫婦だと思い込んでいたが、咲子の夫は他にいて、この4人の関係が2組の夫婦とは全く違う可能性も否定できない。詳しい内容は放送を観ないことにはわからないが、あらすじに書かれている「第3金曜日の秘密」というキーワードを筆頭に、とにかく謎に満ちていて全貌が見えないというのが、『Tシャツが乾くまで』の印象だ。

ここまで内容が伏せられていると、どう受け止めていいのかわからないが、それでも観たいと思うのは、生方美久の最新作だからだ。
2021年に第33回フジテレビヤングシナリオ大賞の大賞を『踊り場にて』で受賞した生方美久は、プロデューサーの村瀬健に大抜擢され、2022年にオリジナルの連続ドラマ『silent』(フジテレビ系)を執筆し、29歳のときに連続ドラマの脚本家としてデビューを果たした。本作は聴者とろう者の恋愛を描いたラブストーリーで、手話やメッセージアプリを駆使して対話をする2人の姿を通して、静かな世界の豊かさが見事に描かれていた。
元々、フジテレビはヤングシナリオ大賞を受賞した若手脚本家に、オリジナルドラマを書かせる伝統があり、積極的に新人を起用することで若者の心を掴むドラマを多数生み出してきた。しかし、2010年代に入るとドラマ業界自体が保守化したこともあり、フジテレビも新人にオリジナルドラマを書かせる機会が減っていた。そんな中、生方は久しぶりに登場した大型新人としてドラマ界に衝撃を与えた。そして作品に流れる空気も、コロナ禍の空気を反映した静かで優しいものとなっており、令和の若者の気分をすくい上げるものとなっていた。




















