『風、薫る』キャラはなぜアニメっぽい? 吉澤智子が描く直美やシマケンら個性派キャラ

『風、薫る』キャラはなぜアニメっぽい?

 りんと直美の恋の相手(?)も、なかなかに濃いキャラクターばかりだ。特にりんの良き相談相手である小説家の“シマケン”こと、島田(佐野晶哉)はボサボサ頭と丸メガネに袴姿というビジュアルからして特徴的。また言語オタクで理屈っぽく、演じる佐野は早口でまくし立てるような喋り方や、困惑して頭を掻きむしる仕草などで「変人キャラ」を作り上げている。直美と不思議な関係を築いている寛太(藤原季節)は「詐欺師キャラ」というより、生粋の詐欺師。かつて身分を偽って鹿鳴館で働いていた直美に、ロマンス詐欺を仕掛けようとした男だ。最初は爽やかな好青年を装っていたが、直美に正体がバレた途端、いかにも詐欺師的な飄々としていて掴みどころのないキャラクターになった。一方で、根っからの悪人とは思えないところもあり、特に同じ孤児である直美に対しては共鳴する部分もあるのか、母親探しを手伝うという親切心も見せている。過去の朝ドラにも主人公やその家族が詐欺師に騙されるパターンはあったが、詐欺師が主人公の恋の相手候補に入るのは初めてではないだろうか。

 また、りんと直美の看護婦養成所の同期である多江(生田絵梨花)は「優等生キャラ」だ。医者の家系で育ち、日本の医療向上のために看護の道に進んだ彼女は、その高い志ゆえに当初は同級生たちを見下し、特に直美とは激しく対立していた。しかし、ぶつかり合いながら課題をこなしていく中で角が取れ、今やすっかりりんや直美の心強い同僚となっている。他の同期たちも個性豊かで、青森の農家出身のトメ(原嶋凛)は「素朴な田舎娘キャラ」、最年長で離婚経験を持つ喜代(菊池亜希子)は「お姉さんキャラ」、日本橋の呉服屋の娘であるしのぶ(木越明)は「お嬢様キャラ」、ナイチンゲールを信奉するゆき(中井友望)は「オタクキャラ」と、看護婦養成所編はキャラが大渋滞していた。

 『風、薫る』の登場人物はただ単にキャラクターが濃いだけではなく、それぞれの背景やギャップとなる部分がしっかり作り込まれている。それがひいては、視聴者を惹きつける、あるいは応援したいという気持ちにさせる一つの要因になっているのではないだろうか。第16週以降には舞台が東京から新潟に変わり、すでに中村倫也演じるつかみどころのない患者・柳生藤次、井上祐貴演じる押しの強い新聞記者・横沢公輔が登場することも発表されている。新潟編では果たしてどんなキャラが生まれるのか、引き続き楽しみにしたい。

■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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