サンライズ×シャフト『フールナイト』で話題 スタジオ“合作”を支えてきたクリエイターたち

アニメスタジオ合作を支えたクリエイターたち

「合作」アニメにおけるスタジオごとの作風

 アニメーション制作で「合作」が話題だ。『機動戦士ガンダム』のサンライズと、『魔法少女まどか☆マギカ』のシャフトが組んで安田佳澄の漫画を原作にした『フールナイト』を制作。サンライズは別に、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』のProduction I.Gとも組んで、押井守監督で『装甲騎兵ボトムズ 灰色の魔女』を制作し、11月20日に第1作を公開する。有力なアニメ制作会社が、単独ではなく共同で制作する意味はどこにあるのか。これまでに行われてきた「合作」は何を生み出してきたのか。

 第46回日本SF大賞の特別賞をTVアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』が受賞した。長いSF大賞の歴史で、特別賞も含めて『ガンダム』シリーズの受賞は初めてのこと。4月11日に行われた授賞式に出席した鶴巻和哉監督は、「本作は、主題やキャラクター、細部のディテールに至るまで、その多くはこの47年前に生まれた偉大な作品なくしては成立しえない作品です」と話し、『ガンダム』シリーズにおけるクリエイターの長い試行錯誤の積み重ねから生まれた作品であることを強調した。

 そして、「そのような『機動戦士ガンダム』という長いタイトルの最新作としての『GQuuuuuuX』という立場を持ちまして、本賞をありがたくお受けいたします」と話して、シリーズ全体に与えられた賞だという思いを改めて示しながら、シリーズ初となる受賞を喜んだ。

 言うまでもなく『GQuuuuuuX』は、長い歴史を持つサンライズと、『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督が率いるカラーという、2つのアニメスタジオの「合作」で生まれた作品だ。細かく言えばサンライズは、2022年に株式会社バンダイナムコフィルムワークスに統合されたことで、ブランドとして残った名前だが、現場を持ち、『前橋ウィッチーズ』や『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』を手がけていて、高い制作能力は維持されている。

 そんなサンライズとカラーが『GQuuuuuuX』を「合作」した結果、ファーストと呼ばれる『機動戦士ガンダム』のシリーズで起こった出来事が、もしも違う展開だったらといった問題提起から始まって、そうした改編がマルチバースというSF的な設定とつながり、驚きの展開へと向かう作品ができあがった。設定へのこだわりやキャラクターの造形、全体のビジュアルには、鶴巻監督や脚本の榎戸洋司の感性が息づき、「カラー」らしさにあふれていた。

 そんな『GQuuuuuuX』で、サンライズが作画など実制作を担ったのか、それともカラーが制作の大半を手がけたのかは不明だが、「ガンダム」という巨大な存在と、聞き覚えのあるサウンドを使えたのも、本家との「合作」だったからこそだと言える。

 これに続くサンライズとProduction I.Gの合作として注目を集めている『装甲騎兵ボトムズ 灰色の魔女』が、同じような関係性になるのかも、現時点では明らかになっていない。ただ、新作の『ボトムズ』を作るに当たって、押井監督が多く仕事をしてきたI.Gに監督を貸してほしいというお願いがあったとも言われている。ミリタリーに強く、『ボトムズ』の監督をいつかやりたいと話していた押井監督を迎え、サンライズのスタジオを現場にして作られている可能性はある。

 ただ、メカニカルデザインに『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』や『銀河英雄伝説 Die Neue These』といったI.G制作の作品に携わってきた常木志伸が参加しており、画面の雰囲気や色調にもI.Gらしさが漂っていることから、作画面でもI.Gが関わっていそう。その意味で、『灰色の魔女』は並んだ2つのアニメ制作スタジオによる“合作感”が、『GQuuuuuuX』よりは濃く出たものになるかもしれない。

 サンライズとシャフトが制作に名前を連ねる『フールナイト』はどちらなのか。副監督の志村亮が、『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 Final SEASON -浅き夢の暁-』や『RWBY 氷雪帝国』で原画や第二原画を手がけ、『〈物語〉シリーズ オフ&モンスターシーズン』では原画だけでなく第7話と第8話で演出も務めた“シャフトの申し子”的存在なだけに、制作の面ではシャフトの色が出そうな印象がある。

 ただ、「ガンダム」と「ボトムズ」というサンライズの2大ロボット作品を核にしていない分、サンライズが「合作」として名前を連ねる意味がどこかにありそう。それが見えたとき、老舗スタジオのサンライズが、相次ぐ「合作」を通して何を狙っているのかも見えてきそうだ。

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