Aぇ! group版『おそ松さん』が原作ファンに刺さる理由 Snow Man版との違いから読み解く

映画『おそ松さん』前作と新作を比較考察

 では前作のSnow Man版『おそ松さん』がどうだったのかというと、2作目とはまったく違う方向性で原作へのリスペクトを示していた。

映画『おそ松さん』【予告編90秒】3/25(金)公開!

 前作の6つ子役としては、おそ松を向井康二、カラ松を岩本照、チョロ松を目黒蓮、一松を深澤辰哉、十四松を佐久間大介、トド松をラウールが担当。基本的にはアニメ版と同じようなキャラ設定となっていたが、物語の大部分がメタフィクションじみた劇中劇として展開される都合上、6つ子たちはそれぞれ“別の物語の登場人物”を演じることになるのだった。

 もっと具体的に説明すると、おそ松は大学受験のために図書館に通い始めたところでとある少女と出会い、青春映画のような甘酸っぱい恋愛を繰り広げることに。またカラ松は川に流されて記憶喪失になった結果、自分をCIAの捜査官だと思い込み、スパイ映画のような物語に没入していく。

 さらに一松とトド松は紆余曲折を経て、某ギャンブル映画のような壮大なデスゲームの主催者と参加者として出会うことになる……といった具合だ。

『おそ松さん』©︎映画「おそ松さん」製作委員会2022

 そもそもストーリーの本筋は、とある大富豪の養子に選ばれるため6つ子たちが奮闘するというものだった。しかし彼らはそんなことをそっちのけにして、自分が主役となる劇中劇へとのめり込んでいく。そこに「物語終わらせ師」なる人物たちが介入し、本筋に戻そうとするものの、どんどん収拾が付かなくなってしまう……。あまりにもカオスな筋書きと言えるだろう。

 とはいえこうした展開が原作を完全に逸脱しているかというと、そうとも言い切れない。原作アニメは元々、先の読めないシュールな展開でお馴染み。とくにF6関連などでは、劇中劇のような謎のストーリーが繰り広げられることも多かった。

 また、登場人物によるメタフィクション発言もお家芸の1つ。たとえば第2期の23話「悩むイヤミさん」などは、イヤミがアニメ内での自分の存在意義についてプロデューサーに愚痴り始めるという回だった。

『おそ松さん 人類クズ化計画!!!!!?』©映画「おそ松さん」製作委員会2026

 つまりハチャメチャな展開で観客の度肝を抜こうとすること自体、ある意味“おそ松さんらしい”と言えるのではないだろうか。あえて対比させるなら、Aぇ! group版がキャラクター描写の再現を徹底しているのに対して、Snow Man版はカオスな作風自体を再現しようとしていたという風に説明できそうだ。

 どちらが良いというわけではないが、Aぇ! group版が生身の俳優を使って“いつもの6つ子”を上手く再現していることにはやはり驚かされた。アニメ版の延長線上のような感覚で観られる作品になっているので、「実写化はちょっと……」と思っている原作ファンにこそオススメしたい。

■公開情報
映画『おそ松さん 人類クズ化計画!!!!!?』
全国公開中
出演:Aぇ! group(末澤誠也、正門良規、佐野晶哉、小島健)、草間リチャード敬太、西村拓哉、渡邉美穂、大貫勇輔、なえなの、野口衣織(=LOVE)、三宅弘城、木村多江、宮内ひとみ、千葉雄大、船越英一郎
原作:赤塚不二夫『おそ松くん』
監督:川村泰祐
脚本:宅間孝行
音楽:橋本由香利
主題歌:Aぇ! group「でこぼこライフ」(UNIVERSAL MUSIC)
制作:はちのじ、パイプライン
配給:東宝
©映画「おそ松さん」製作委員会2026
公式サイト:https://osomatsusan-movie.jp
公式X(旧Twitter):https://x.com/osomatsusan_mov
公式Instagram:https://www.instagram.com/osomatsusan_movie/
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@osomatsusan_movie

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