Aぇ! group版『おそ松さん』が原作ファンに刺さる理由 Snow Man版との違いから読み解く

人気アニメ『おそ松さん』を原作とした実写映画の第2弾『おそ松さん 人類クズ化計画!!!!!?』が、6月12日から上映中だ。同作では、Aぇ! groupのメンバーを中心とした演者たちが主人公の6つ子を演じているのだが、原作ファンの反応はかなり好意的なものが目立つ。
実写化作品というだけで厳しいジャッジを受けることが多いものだが、同作はなぜそんな風潮を覆すことができたのか。Snow Manが主演を務めた前作の映画『おそ松さん』とも比較しながら、今作の特徴について語っていきたい。

『おそ松さん』は、20歳を過ぎても自堕落な生活を送る“クズ”な6つ子が活躍する物語。今回の映画では長男のおそ松を末澤誠也、次男のカラ松を正門良規、三男のチョロ松を佐野晶哉、四男の一松を小島健、五男の十四松を草間リチャード敬太、末っ子のトド松を西村拓哉が演じている。
大まかなあらすじとしては、とある研究者が作り上げた装置によって、世界中の人間の価値観が書き換わる「人類クズ化計画」が発動。ひょんなことから6つ子たちが人類を救うために立ち上がる……という流れで、いかにも劇場版らしい壮大なエピソードだ。

なかでも注目すべきは、原作アニメに忠実な設定によってキャラクターが描写されている点だろう。
たとえば強く印象に残ったのは、カラ松と一松の関係性だ。一松は基本的にネガティブでマイペースな性格だが、なぜかカラ松に対してだけはやけに当たりが強く、暴力的な一面を見せることもある……という設定がアニメ第1期では示されていた。今回の実写版では、そんな関係性を前提とした2人のやりとりが随所に挟まれている。

またチョロ松の描写も、かなりアニメ版に近い。チョロ松は6つ子のなかのツッコミ役で、自分だけはほかの兄弟と違って常識人だと自負している。しかし実際にはかなりタガが外れたアイドルオタクで、最推しの地下アイドル・橋本にゃー(野口衣織)を前にすると暴走が止まらなくなるという設定だった。それを踏まえて、今回佐野が演じたチョロ松は徹底して“イタいオタク”として描かれている。
さらにトド松がオシャレなカフェで働いている描写や一松が猫を溺愛している描写なども、原作アニメに準拠したものとなっている。

そのほか、ヒロインのトト子が売れない地下アイドルとして活動しているという設定もアニメ版と共通する。魚のような独特の衣装を着て「人類みなエラ呼吸」と歌い上げるシーンには、原作ファンへのサービス精神を感じられた。
その一方で今回の映画では、原作をオマージュした描写も多数描かれている。物語の中盤には、紆余曲折を経て人気者になった6つ子がライブを行うのだが、このシーンは原作アニメの「F6」ネタを踏襲したもの。カラ松がオラついた“肉食系男子”になっているところなどは、原作を知っていると思わずクスリとしてしまう描写だろう。ちなみにライブで6つ子が歌唱しているのは、舞台「おそ松さん on STAGE」の楽曲「FantaStIc X-tasy」だ。
しかもこうしたキャラクター描写やファンサービスは映画の一部分ではなく、最初から最後までほぼ一貫して登場する。おそらく今作の制作陣には、原作ファンをとことん意識して作るという方針があったのではないだろうか。




















