佐野晶哉の武器は“耳の良さ”にあり 『風、薫る』『おそ松さん』で証明した役作りの巧みさ

佐野晶哉の武器は“耳の良さ”にあり

 Aぇ! groupの末澤誠也、正門良規、佐野晶哉、小島健と関西ジュニアの西村拓哉、そして草間リチャード敬太が主演を務める映画『おそ松さん 人間クズ化計画!!!!!?』が6月12日に公開され、初日3日間で観客動員数14万1000人、興行収入2億1800万円を記録する好スタートを切った(※)。本作は、待望の赤塚不二夫原作によるアニメ『おそ松さん』の実写映画第2弾。クズでニートな松野家の6つ子たちが、世界を揺るがす大きな陰謀に巻き込まれていく姿を描く。

映画『おそ松さん 人類クズ化計画!!!!!?』©映画「おそ松さん」製作委員会2026

 20歳過ぎても定職につかず、親のすねをかじって暮らしている6つ子の兄弟。普段はどこへ行っても疎まれている彼らだが、突如としてそのクズっぷりが称賛され、世界中の人気者に。それは、とある研究者が開発した人間の価値観を「クズであればクズであるほど素晴らしい」というものに変えてしまうガスの影響だった。6つ子たちはその背景にある恐ろしい“人類クズ化計画”を止めるため、奮闘することになる。

 まるで劇場版『クレヨンしんちゃん』のようなぶっ飛んだ設定だが、一見まとまりのない兄弟の絆や「多様な価値観を認め合おう」というメッセージが描かれており、最後は感動に包まれるストーリーとなっていた。また、Snow Manが主演を務めた第1弾同様、いろいろな作品のパロディや原作愛溢れた小ネタ、メタ発言なども満載。原作ファン、キャストのファンのみならず、幅広い層が楽しめるエンタメ作品となっているように思う。何より特筆すべきは、6つ子のキャラクターが原作に忠実で、それぞれの魅力が脚本とキャストの力で際立つように表現されていることだ。

映画『おそ松さん 人類クズ化計画!!!!!?』©映画「おそ松さん」製作委員会2026

 頼りないようで、いざという時には長男としての威厳が出てくるおそ松(末澤誠也)、超絶ナルシストなのに、どこか不憫で憎めない次男のカラ松(正門良規)、全身から陰鬱なオーラを漂わせ、原作のジト目が完全再現されている四男・一松(小島健)、ニコニコ笑顔が微笑ましく、太陽のような明るさを携えている五男の十四松(草間リチャード敬太)、あざとさ全開ながら、ほんのりと毒が混じった末っ子のトド松(西村拓哉)。そして、今回注目したいのは、佐野晶哉演じる三男のチョロ松である。

『風、薫る』写真提供=NHK

 佐野といえば、現在放送中のNHK連続テレビ小説『風、薫る』にヒロインのりん(見上愛)に思いを寄せる“シマケン”こと島田健次郎役で出演している。シマケンは、新聞社で活字工をしながら小説家を目指している青年。だが、本人は自分が何者であるかを定義されたがらない。加えて生粋の言語オタクで、同作の中では最もユニークで目立つ存在と言えるだろう。シマケンをキャラ立ちさせているのは、ボサボサ頭に丸メガネというビジュアルや、挙動不審な動き、悩んでいる時の頭を掻きむしる癖もあるが、一つは佐野の声だ。シマケンの人となり、その時々の心情が、すべて声に乗っているのである。

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