丸山隆平が考える現代社会に対する価値観 佐藤二朗との共演で意識したプロとしての距離感

丸山隆平が考える現代社会に対する価値観

 佐藤二朗が自ら原作・脚本・主演を務めた映画『名無し』が5月22日より公開中だ。“名前を知っているもの”に右手で触れるとそれが消え、触れたものが生命であればその命を奪ってしまう少年・山田太郎。中年を迎えた太郎はある日、“目に見えない”の凶器で白昼堂々無差別殺人を犯す。いったい何が太郎をそうさせたのか。

 少年期の太郎に深く関わる巡査・照夫を演じたのは丸山隆平。孤児だった太郎の保護者となった照夫は、太郎にどんな影響を与えたのか。そして丸山は、このあまりにも孤独な太郎に俳優としてどう向き合ったのか。作品を機に考えさせられたという現代社会に対する価値観とともに、作品に対する想いを明かした。

佐藤二朗への想い

——『名無し』という物語を生み出した佐藤二朗さんについての印象を聞かせてください。

丸山隆平(以下、丸山):いつからか、誰もが抱えていて外には出せない違和感みたいなものを佐藤さんはきっと抱えてはるんじゃないかなと、僕は勝手に思っていました。

——太郎の孤独も、すごく臨場感ある演技で演じられていました。

丸山:現代は人との距離だったり、特にここ数年は直接的なコミュニケーションにおいてのコンプライアンスやルール決めが、とても曖昧な線引きで行われているような気がするんです。エンタメ、表現活動をするにしても、相手が不快に感じることに対して、ずっと繊細に考えなければいけなくなっている。そう考えるべきとされているわりには、SNSやインターネットでは他人に対する言葉の暴力のようなものが加速している気がするんですよね。そういう意味では、もしかしたらみんなどんどん孤独になっていきやすい環境になってきているという危機感は持たざるを得ないなと。相手を気遣って、相手に対してためになると思って言っていることが、容易く罪になってしまう。そういう心のすれ違いを持つ太郎のような人が生まれやすい世の中だから、こういう作品が産み落とされたような気もします。太郎が手に持つ武器が見えないというのは、その不穏さや相手が見えないといったことの一つの表現なのかなと。見えないものの怖さとして解釈できると思います。

——丸山さんは“孤独”とどのように向き合っていますか?

丸山:太郎の孤独と比べることではないですが、酒を飲んだ帰り道とかは孤独になりますよね(笑)。「楽しかったのになぁ」と。ライブが終わって家に帰って、一人で風呂に入るときとかは、思わずSNSを開いて情報の羅列を、特に興味もないこととかも見てしまったりして、孤独を埋めているような気もしますね。

——それは丸山さんにとって孤独が埋められていると思っていますか?

丸山:わからない。時間を埋めているだけで、本質的なところは埋まっていないと思うんですよね。かといって、家族というものの中でも孤独はあるやろうし、子供の頃実家でも両親がいたとしても孤独に思うこともあったし。僕は12歳まで一人っ子だったんですが、大人二人の中に子供が一人でいるという孤独もあるんですよ。壮絶な家庭環境とかいうこととは関係なく、人がいるからこそ生まれる孤独もあるなと思ったし。

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる