劇場版『名探偵コナン』は作り手によって作風が違う? “2本柱”の脚本家と歴代監督たち

劇場版『名探偵コナン』歴代脚本家と監督たち

 ほぼ毎年、新作が公開されている劇場版『名探偵コナン』シリーズ。その制作陣はある程度固定された顔ぶれとなっているが、作品ごとに作風の違いがハッキリと表れている。そこで本稿では、歴代の脚本家と監督の“色”に注目しながら過去の作品を振り返ってみたい。

 まず脚本家に関していえば、初期作品は故・古内一成さんが主に脚本を手がけていた。古内さんはTVシリーズのメインライターでもあったため、作品の方向性を決定づけた功労者の1人と言えるだろう。この時期に築き上げられた“コナンらしさ”をもとに、その後いろいろな作品が生み出されることになる。

 そして古内さんが最後に手掛けた第18作『異次元の狙撃手』以降は、主に櫻井武晴と大倉崇裕の“二本柱”で脚本が執筆されている。

 櫻井が初めて劇場版『名探偵コナン』の脚本を書いたのは、2013年公開の第17作『絶海の探偵』。その後は第19作『業火の向日葵』、第20作『純黒の悪夢』、第22作『ゼロの執行人』、第24作『緋色の弾丸』、第26作『黒鉄の魚影』、第28作『隻眼の残像』と、計7つの作品を手がけている。

『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』©2025 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

 櫻井はもともと『科捜研の女』(テレビ朝日系)や『相棒』(テレビ朝日系)などの社会派ミステリードラマに携わっていた経歴の持ち主。そのためか櫻井脚本の作品は、社会の矛盾や時事問題に踏み込むような壮大なテーマを扱っていることが多い。「たんなる子ども向けではない、大人でも楽しめるコナン」を生んだ脚本家と捉えることができるだろう。

 たとえば『ゼロの執行人』では“IoTテロ”というサイバー犯罪を扱いつつ、警察組織のあり方を鋭く問うようなストーリーを展開。最も新しい『隻眼の残像』も、司法取引制度をテーマに据えた挑戦的な作品だった。

『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』©2026 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

 それに対して大倉は、現在公開中の最新作『ハイウェイの堕天使』を手がけた脚本家。これまでには第21作『から紅の恋歌』、第23作『紺青の拳』、第25作『ハロウィンの花嫁』、第27作『100万ドルの五稜星』を手がけている。

 大倉は本業が小説家ということもあり、物語を構成する力に長けた脚本家だ。大勢のキャラクターを登場させ、それぞれに見せ場を与える……という劇場版ならではのミッションをうまくこなしてきた。

 なかでも『ハロウィンの花嫁』は、大倉脚本の集大成とも言える作品。さまざまな思惑を持った登場人物たちの行動を分かりやすくまとめ上げたうえ、そこに観る者の感情を揺さぶるような人間ドラマを交差させるという芸当を見せていたからだ。高い構成力がなければ、到底成立しなかった脚本ではないかと思われる。

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