『文豪ストレイドッグス』初の劇伴ライブはファン必見 生演奏×名シーンが生む圧巻の没入感

『文スト』シリーズ初の劇伴ライブをレポート

 文豪の名を懐くキャラクターたちによるスリリングでスタイリッシュな異能力バトルが話題を呼び、TVアニメ第1シーズン放送開始から2026年で10年を迎えた今もなお愛され続ける『文豪ストレイドッグス』。5月4日、シリーズ初となる劇伴ライブ「文豪ストレイドッグス-迷ヰ犬達ノ音奏-」の大阪公演が、オリックス劇場で開催された。

 この公演は、『文豪ストレイドッグス』シリーズ初となる劇伴に焦点を当てたライブ公演。大阪/東京の2カ所で開催され、シリーズ初期から現在まで劇伴曲を手がけてきた岩﨑琢がバンドマスターを担当。名だたる実力派ミュージシャンたちによる『文豪ストレイドッグス』の世界観を凝縮した演奏が楽しめる。

 会場のステージ中央にはキーボードを構える岩﨑琢が陣取り、向かって左手にドラム、ギター、ベース、シンセサイザー、右手にストリングスやサックスのメンバーが並んだ。ステージ奥には巨大なスクリーンが設置され、作中の名シーンが次々に映し出されることで、音と映像の化学反応が生まれていく。

※以下、コンサート内容に関するネタバレ内容が含まれています。

 ライブは冒頭、開演直前の場内アナウンスとして太宰治(CV:宮野真守)と中原中也(CV:谷山紀章)が登場。コミカルな要素も加えたテンポのいい掛け合いで会場を盛り上げると、「Spider Web」を出囃子にしてステージに次々とバンドメンバーが登場。

 1曲目「文豪0」を経て、3曲目「異能ノススメ」ではテクニカルで荒々しいギターとバンドサウンドに合わせるように、TVシリーズの各話サブタイトルをちりばめた映像演出が客席の作品ファンの心をグッと掴む。

 ライブ前半は熱い演奏とは裏腹に、あくまで照明を暗く抑え、スクリーン映像を際立たせた音と映像のシナジーを大切に進んでいく雰囲気。中でも印象的だったのは、随所に作中のセリフ演出が挿入されていることや、流れる映像自体にもテーマが感じられたこと。映像面では各楽曲に対応するように「作品全体の世界観」「キャラクターの深掘り」「登場人物の関係性の表現」など異なるテーマの映像が当てられている。

 たとえば、「文豪AcidJazz」「異能ノススメ」でアニメシリーズの様々な登場キャラクターたちや、シリーズが歩んできた物語を印象づけた後、曲間でTVアニメ第1話の太宰治のボイス演出が挿入され、4曲目「武装探偵社」では主人公・中島敦たちが所属する武装探偵社に焦点が当たっていく。

 一方、次曲「君死にたまふことなかれ」では同じく武装探偵社にフォーカスしつつも、より日常でのコミカルな姿が伝わるシーンをピックアップ。そう、楽曲ごとに異なるテーマの映像が当てられるからこそ、全編を通して『文豪ストレイドッグス』の魅力が立体的に浮かび上がるライブ構成、ステージ演出となっているのだ。

 また、普段は作品に寄り添うために鳴っている楽曲が主役になるステージだからこそ、『文豪ストレイドッグス』の魅力が音楽でどう表現されているのかを聴覚でより感じられる。生演奏で改めて聴いてみると、劇伴曲の数々には『文豪ストレイドッグス』のハードボイルドでスタイリッシュ、それでいてどこかロマンを感じるような魅力が表現されていて、ひずんだギターサウンドや電子音にジャズの要素を融合することでそれを実現しているように感じられる。たとえるなら、往年のスパイ映画などにも通じるようなクールで華やかな雰囲気と、登場人物たちの心の内を表現するような激しいバンドサウンドとがひとつになっているのが、この作品独自の魅力のように思える。

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