2026年は“ビーバー映画”がアツい! 『わたビバ』とセットで観たい『FEVER ビーバー!』

『わたビバ』『FEVER ビーバー!』はセットで

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、水辺に生息している哺乳類が好きな佐藤が『FEVER ビーバー!』をプッシュします。

『FEVER ビーバー!』

 2026年はビーバー映画がアツい! 『私がビーバーになる時』に続く“ビーバー映画”として登場した『FEVER ビーバー!』は、モノクロなのにやたらポップで、やたらテンションが高い一作となっている。主人公は、りんご酒売りの仕事を失い、なぜか氷点下の森でハンターとして生きていくことになった男。森で出会った女性との恋を実らせるため、彼女の父に認められるべく、『Hundreds of Beavers(原題)』のタイトル通り、「ビーバーの毛皮を大量に集める」という無茶すぎるミッションに挑む。結果、静かな冬の森は、罠を仕掛けまくる男と、びくともしないビーバー軍団による、カオスな戦場に変わっていく……。

 本作を手がけたのは、登録者数160万人超えのYouTuberとしても活動するマイク・チェスリックとライランド・ブリストン・コール・テューズのコンビ。ほぼ少人数で作られたインディー作品だが、とにかく勢いがすごい。YouTubeで培ってきた発想を、そのまま映画サイズにぶち込んだような自由さで、とにかくいい意味でずっとやりたい放題だ。

 そして、この映画の面白さは、実写にカートゥーンアニメのような演出を取り入れているところにある(実際に監督自身も「実写版ルーニー・テューンズのような作品」と説明している※)。個人的には、かなり『トムとジェリー』っぽさも感じた。そう、本作の主人公はとにかく失敗しまくるのだ。罠はハマらないし、焚き火すらまともに続かない。でも懲りずに次の手を試していく。その姿は、毎回ジェリーにやられるトムそのものだ。

 しかも、その発想が毎回ぶっ飛んでいる。雪だるまでナイスバディーなメスうさぎを作っておびき寄せたり、鼻水で氷柱を生成してオオカミを仕留めたり、とツッコミたくなるアイデアの連続だ。ビーバー側にも探偵のような存在がいて男を追い詰めてきたり、捕まえたかと思えば急に裁判が始まったりと、展開もいちいち壮大。気づけば「今度こそいけるか?」と、こちらまで期待してしまっているのが悔しい。このループこそが、本作のいちばんの中毒性なのかもしれない。

 本作の作風についてチェスリック監督は、「スラップスティック(ドタバタ喜劇)は、体を使う仕事が多い社会のほうがハマる。サービス中心の社会では、そういう笑いは減ってしまった」と語っている。たしかに最近のコメディは、会話やセリフで笑わせるものが多く、いわゆるドタバタ系の笑いはあまり見かけなくなった印象があるかもしれない。さらに監督は、「このジャンルがしばらく作られていなかったこともあって、少し追い風になっている。もし30年誰もホラー映画を作らなかったとして、突然1本出てきたら『映画ってこういうこともできたんだ!』と驚くはず」とも話している(※)。

 こうした監督のスタンスも含めて愛おしい作品だし、自分にとっても新しい映画だった。こういう映画をもっと観たいと思わせてくれる一本だった。

参照
※ https://www.avclub.com/hundreds-of-beavers-director-mike-cheslik-interview-1851422782

■公開情報
『FEVER ビーバー!』
公開中
監督・脚本・製作:マイク・チェスリック
出演・脚本・製作:ライランド・ブリストン・コール・テューズ
配給:スターキャットアルバトロス・フィルム、ローソン・ユナイテッドシネマ
提供:ニューセレクト、ローソン・ユナイテッドシネマ
2022/アメリカ/モノクロ/英語/16:9/108min/原題:Hundreds of Beavers/G指定
©2022 SABLJAK RAVENWOOD HOGERTON
公式サイト:100beaver.com
公式X(旧Twitter):https://x.com/albatros_movie

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