『超かぐや姫!』『パリエト』など、宣伝の“情熱”で快進撃をみせたオリジナルアニメ映画

『超かぐや姫!』『パリエト』宣伝の“情熱”

オリジナル作品はどのようにプロモーションをしているのか

 オリジナル作品で近年目立った実績を挙げているのが、当初はNetflixで独占配信された『超かぐや姫!』だ。古典作品である『かぐや姫』にボーカロイド文化やVTuber文化、ゲームや百合要素を乗せるなどの大胆なアレンジを加えた作品は20代から30代を中心に人気を獲得。すぐに劇場公開され、3月いっぱいで劇場興収は15億円を突破する偉業を成し遂げた。

 なぜ『超かぐや姫!』は人気を獲得できたのか。それは「歌声」を軸とした事前プロモーションが功を奏したからだろう。若い方と親和性の高いショート動画に人気のあるボカロ曲の「(声優たちが)歌ってみた」を投稿したのは特に際立った戦略といえる。この手法はターゲットとなる層に「あなたたちのためのアニメだよ」「一緒に楽しもうよ」と直接メッセージを送る効果を持っており、公開前から高い人気を獲得したことも頷ける。

 また、『超かぐや姫!』は山梨県と高知県では未だ劇場公開されていないが、山梨では5月29日から上映予定となっている。驚かされるのが高知県だ。映画館での上映は予定されていないが、5月2日に高知県立県民文化ホールという公共施設での特別上映が予定されている。上映館の確保が容易ではない状況で、ファンの熱気に宣伝広報者が熱意で応えた格好だ。

谷口悟朗×吉田玲子が語り合うオリジナルアニメの存在意義 “多様性”のために必要なこと

谷口悟朗監督×脚本・吉田玲子の映画『パリに咲くエトワール』制作秘話。大戦前夜のパリを舞台に、「なぎなた」と「バレエ」で夢を追う二…

 『超かぐや姫』とまったく異なるアプローチを取ったのが、同時期に上映された『パリに咲くエトワール』だ。『スクライド』や『コードギアス 反逆のルルーシュ』などのSFアクション作品で人気を博した谷口悟朗監督が新境地に挑んだ作品で、試写会の評価はある映画サイトでは当初5段階で2.9とあまり評価が高いものではなかった。

 当初は映画館の席もほとんど埋まらない状態だったが、実際に観に行った方がSNSで口々に「名作だ!」「急いで観に行った方が良い!」「棒術すごい!」など絶賛の声が相次ぎ、大きな話題となり劇場へと足を運ぶ人間が続出することとなった。

 作品サイドもファンの声に応えるようにSNSやショート動画で詳細な情報を次々と公開。谷口監督たち制作スタッフが参加するティーチイン上映も4月16日までに6回が開催されており、すでに開催された回ではファンが監督に質問を投げかけるなど、熱意あるやり取りがさらに作品に力を与えていく光景が見られた。

 『超かぐや姫!』と『パリに咲くエトワール』は作風も、おそらく対象となる視聴者も異なる作品だ。しかしどちらの作品も、人の情熱が作品を押し上げていることに変わりはない。

「結局、情熱には何もかなわない」

 広報・宣伝に情熱がどれほど大きな意味を持つのか。それを示した両作品は、今後多くの作品が目指すべき存在になったといえるのではないだろうか。

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