『風、薫る』の子ども時代省略は新たな“朝ドラ批評”に 半年間ある物語だからこその期待

主人公の子ども時代でなくとも、主人公の子どもを早くから出すというのもひとつの手だなと感じた。
主人公の子どもがすぐに生まれ、シングルマザーと息子の物語だったのは『私の青空』(2000年度前期)だ。序盤から母親として奮闘する主人公を応援したい物語になっていた。
なかには子役週がなくても成功した例もある。『虎に翼』(2024年度前期)だ。主人公の寅子(伊藤沙莉)がいきなりお見合いしている。そしてそこで自己主張する。これがうまくいったのは、物語全体の主張を第1話で全部見せているからだ。冒頭、憲法第14条を読んで涙している戦後の寅子。その周辺には、第14条で守られるべき多くの人々の暮らしがある。これがこのドラマのすべてなので、世界観に慣れるも慣れないもない、出合い頭にガツン!というやり方がときには成功することがある。

『風、薫る』公式サイトには「主人公はそれぞれに生きづらさを抱えた二人の女性。当時まだ知られていなかった看護の世界に飛び込み、傷ついた人々を守るために奔走し、時に強き者と戦う―― 明治という激動の社会を舞台に、幸せを求め生きるちょっと型破りな二人のナースの冒険物語です」というふうに記されている。生まれ育った環境がまるで違うりんと直美の物語が並行して進行し、どこでどう交わって何がはじまるのか、そこからが本題なのはわかる。
そこからが本題として、半年間という長いスパンで結婚や出産とは違うナースのお仕事をたっぷり描くのだろうか。女性の人生を単純化した双六の目に書かれていない、これまでの朝ドラで描かれなかったたくさんの出来事がこれから描かれるとしたら楽しみだ。ただ半年間は長い。前半、走り過ぎないことを祈る。
■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK





















