『東京P.D.』“熊崎”吉川愛が見せた芯の強さ 『鬼の花嫁』で際立つ繊細な表現との振れ幅

吉川愛、『東京P.D.』『鬼の花嫁』での振り幅

 ほかにも、管理官の下地(正名僕蔵)や主任の時永(竹財輝之助)など、個性豊かな面々が所属する広報課のなかでも、今泉と行動をともにする機会が多いのが、吉川愛演じる熊崎心音だ。吉川は彼女のことを「サバサバしていて男気があり、仕事もできて、みんながあこがれるような人物」と役の印象を語っている。実際、テキパキと広報課の仕事をこなす彼女は、事件や記者との向き合い方に葛藤する今泉に対して、先輩としてサポートする姿が印象的だ。しかし、組織のルールや上層部の圧力に屈することなく正義を貫く今泉の姿を目の当たりにして、少しずつ彼の情熱に感化されていく。助けを求める市民の声が直接届く通信指令本部出身の熊崎にとって、被害者の気持ちを最優先に考えて寄り添う今泉の姿は、自らが目指していた理想の警察像だったのかもしれない。真面目でしっかり者の熊崎が心の奥底に秘める熱意や正義感を、時折見せる真剣な表情に内在させる吉川の芝居によって、等身大で魅力的なキャラクターに仕上がっている。

『東京P.D. 警視庁広報2係』©︎フジテレビ

 そんな彼女の頭の回転の速さを実感したのが、都の行政担当責任者と小城幡建設による談合事件が描かれた第8話。捜査二課の刑事・仙北谷(味方良介)と手を組んで政治家の汚職事件を暴こうと画策していた今泉の行動にいち早く気づき、自ら協力を申し出る。さらに、会合に同席していた都庁職員の木村(堀未央奈)が都議会議員の須藤(佃典彦)に言い寄られている場面に遭遇した際は、咄嗟の判断で知り合いに扮して彼女を守る。あたふたする今泉や仙北谷を尻目に、柔軟な対応を見せる熊崎の機転が光ったシーンだった。

 これまで青春映画や恋愛ドラマでヒロイン役を務めてきた吉川。近年はドラマ『降り積もれ孤独な死よ』(2024年/読売テレビ・日本テレビ系)や『PJ 〜航空救難団〜』(2025年/テレビ朝日系)など、シリアスなクライムサスペンスから手に汗握るヒューマンドラマまで、多様な作品で存在感を示している。

 さらに、3月27日に公開された映画『鬼の花嫁』では、永瀬廉とともにW主演を務め、鬼の一族の次期当主である鬼龍院玲夜に花嫁として見いだされる東雲柚子の心の機微を、儚げな表情と繊細な芝居で表現した。YouTubeに投稿されたスペシャル座談会では、自身と柚子のキャラクターを比較して「性格とかが真逆」と評していた吉川。劇中では目力の強さや声のトーンを調節するなど、柚子という女性がどのように生きてきたのか、今何を考えているのかを自身に投影する。互いに心惹かれていく柚子と玲夜の関係性を、吉川と永瀬がゆっくりていねいに積み上げていくことで、恋心が芽生えた2人の距離感がファンタジーな描写のなかでもリアルに映し出されていた。

 演じるキャラクターや出演作品によって、さまざまな表情を見せてくれる吉川。『東京P.D. 警視庁広報2係』はSeason1の終了後、FODにてSeason2が独占配信されることがすでに決定している。引き続き、広報部で奮闘する今泉と安藤の師弟関係に注目しつつも、吉川演じる熊崎の変化と成長も楽しみにしたい。

■放送・配信情報
『東京P.D. 警視庁広報2係』
season1:フジテレビ系にて、毎週火曜21:00~21:54放送
season2:FODにて配信予定
出演:福士蒼汰、吉川愛、正名僕蔵、竹財輝之助、太田莉菜、谷原七音、本多力、緒形直人ほか
脚本(ライターズルーム方式):阿部沙耶佳、阿部凌大、島崎杜香
オープニング主題歌:syudou「暴露」(syudou商店 / A-Sketch)
企画・原案・プロデュース:安永英樹(フジテレビ)
プロデューサー:中村亮太
演出:岩田和行、植田泰史ほか
制作:フジテレビ
制作著作:共同テレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/tokyopd/
公式X(旧twitter):@tokyopd_fujitv
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