『呪術廻戦』乙骨の“化け物っぷり”を見事に表現? 第3期の演出を原作ファン視点で評価

『呪術廻戦』第3期の演出を原作ファンが評価

 TVアニメ『呪術廻戦』の第3期「死滅回游 前編」もいよいよ完結。その内容を振り返ると、第2期までと比べて、アニメオリジナルのシーンや独創的な演出が数多く追加されていた印象だ。

 そこで本稿では、原作ファンとしての目線からあらためて第3期の演出について振り返っていきたい。

TVアニメ『呪術廻戦』第3期「死滅回游 前編」仙台結界PV|OPテーマ:King Gnu「AIZO」|最終回「仙台結界」3月26日(木)深夜0時26分~本編拡大スペシャルにて全国同時放送!

 まず第3期で強い印象を受けたのは、登場人物たちのキャラクター性を際立たせるための演出が随所に見られたことだ。

 たとえば第48話「執行」では、「乙骨憂太がいかに規格外な存在なのか」を強調するような演出が用いられていた。虎杖悠仁や脹相の前に初めて姿を現した際、乙骨の背後には禍々しい色合いの空が映り込んでおり、彼らが受けた威圧感を視聴者も感じ取れるようになっている。

 また時系列がシャッフルされていたが、アバンタイトルでは荒廃した東京で虎杖と乙骨が戦いを繰り広げる場面が登場。そこでは歌舞伎座の舞台上で日本刀を振り下ろす乙骨と、それを仰向けの姿勢で受け止める虎杖の姿が描かれていたが、これは上下の構図を利用することで、この時点での2人の力量差を象徴的に示す意図があったのではないかと思われる。

 その一方で序盤のエピソードでは、禪院直哉の人間性があの手この手で表現されていたことが印象的。脹相に拳を叩き込みながら反対の手で髪をかき上げるところは、直哉の傲慢さやナルシシズムを的確に表した名シーンだった。

 また直哉は男尊女卑の考え方や家父長制的な因習を体現している人物だが、禪院家を出発する際に真希の母を玄関で跪かせ、自分の履き物を準備させるカットではそうした側面がはっきりと描き出されていた。

 もっと別の視点でいえば、第3期は“分かりやすさ”に重点を置いた演出方針だったようにも思われる。

 「死滅回游」は複雑なルールを伴ったデスゲームで、原作読者のあいだでも「分かりにくい」といった声があったほど。第50話「死滅回游について」ではそんな問題を解決するためか、ひたすらにビジュアル化してルール説明が行われていた。

 具体的には登場人物たちが今後とる行動がチャートのように図示されていた上、「羂索の目的(暫定版)」、「死滅回游の目的」、「虎杖たちのミッション」、「それぞれの行動」をまとめた図がじっくりと表示されるカットもあった。原作をすでに読んでいる人間にとっても、情報を整理する良い機会になったのではないだろうか。

 逆に視聴者が物語の筋を追いやすいように、あえて説明を省略しているようなシーンもあった。それは第51話「葦を啣む」でのこと。禪院家の忌庫に向かった真希が、実の父である扇と対決する場面だ。

 ここで描かれるのは、呪具「竜骨」を携える真希に対して、秘伝「落花の情」を発動する扇という構図だった。アニメでは一瞬で決着が付いており、何が起きたのかほとんど説明されていないが、原作では扇が「落花の情」を使った理由や、真希が脳内で考えていた戦闘プランなどが細かく描写されていた。

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる