『虎に翼』“もうひとりの主人公”よねの怒りは現代の代弁 『山田轟法律事務所』を描く信念

『虎に翼』よねの怒りは現代の代弁

 よねの信念は、戦後新たに制定された、日本国憲法第14条1項だ。

「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」

 初めてこの条文を見たとき、寅子は涙を流した。だがよねは、「政府もGHQも、しょうもないほど世間知らずでお気楽だ」と、吐き捨てた。その条文が載った新聞を、破り捨てたりもした。なにを綺麗事を言っているんだと。事実よねの目の前では、女性が、子供が、朝鮮人が、黒人が、部落出身者が、言われなき差別を受け、迫害を受けているじゃないか。そもそも戦勝国のアメリカが、「この街を焼け野原にした」アメリカが、敗戦国・日本を丸ごと下に見ているじゃないか。

 そんなよねが、「今は綺麗事、絵空事だとしても、どうせ進むならこっちがいい」と思い直すことができたのは、相棒・轟(戸塚純貴)との再会も大きいのではないか。『山田轟法律事務所』というタイトルでありながら、轟の登場シーンはラスト10分ほどである。本作の唯一の不満点はそこだ。だが轟のえずき芸は、往年の加藤茶を彷彿とさせる完成度だった。戦後闇市ハードボイルドな世界観を、本編の『虎に翼』に引き戻してくれた。次は、轟メインの『山田轟法律事務所2』の制作を期待してやまない。

 その轟およびイマージナリー寅子の後押しもあり、よねは再び司法試験を受ける決心をする。勉強を始めたよねのバックに、米津玄師の歌声がかぶさる。

〈土砂降りでも構わず飛んでいく その力が欲しかった〉

 無力だったよねは、飛べる力を、戦える力を手に入れるため、司法試験会場に赴く。進むべき道が決まったよねの歩く姿は、前のめりでも大股でも早足でもない。背筋を伸ばしてゆっくりと歩く。でもその足どりは、しっかりと地を踏みしめている。

参照
※ https://woman-type.jp/wt/feature/34275/

■放送情報
虎に翼スピンオフ『山田轟法律事務所』
BS4Kにて、3月29日(日)16:45~17:57放送
NHK ONE(新NHKプラス)にて同時・見逃し配信予定
出演:土居志央梨、戸塚純貴、平山祐介、秋元才加、森迫永依、呉城久美、絃瀬聡一、細井じゅん、北代高士、鈴木拓、大谷亮介、伊藤沙莉 ほか
作:吉田恵里香
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
語り:尾野真千子
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和(NHKエンタープライズ)、石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎(NHKエンタープライズ)
写真提供=NHK

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