実写版『ゴールデンカムイ』の原作再現度は健在 『網走監獄襲撃編』“3つの戦い”を総括

実写版『ゴールデンカムイ』バトルの再現度

 まずは、第七師団VS網走監獄囚人軍団700人の肉弾戦だ。これはもう、戦いというより「祭り」だ。男の子なら大好きなやつである。「男祭り」だ。たとえ死んでもいいから、この中に混ざりたい! 筆者はそう思いながら観ていた。この大混戦の中でも、第七師団各メンバーの戦闘カラーはきっちり描き分けられている。鶴見中尉の機関銃による大量虐殺。月島軍曹による篤実な鶴見中尉へのサポート。鯉登少尉による自顕流の一刀必殺。そして、新キャラ宇佐美上等兵の狂気。

 続いて、杉元VS二階堂浩平(栁俊太郎)の因縁の戦いだ。二階堂は、杉元を弟・洋平の仇として恨んでいる。どんどんコメディリリーフ化していく二階堂だが、杉元を見ると我を忘れて殺しに走る。栁俊太郎は、本来『MEN'S NON-NO』(集英社)出身の男前のはずだが、二階堂のおもしろ気持ち悪いさまを、上手く表現している。また、くにゃくにゃした動きは、その柔軟性を表している。体が柔らかいからこそ、杉元得意の「顔から落とす投げ」を食らっても、即座に戦闘態勢に戻れるのだ。本来、首が折れてもおかしくない落とし方だ。

 最後に、土方歳三(舘ひろし)VS犬童四郎助(北村一輝)の立ち合いである。函館戦争後に捕らえられた土方にとって、まだ幕末は終わっていない。この立ち合いは、30年越しの旧幕府軍VS新政府軍の代理戦争でもある。犬童は、「榎本武揚は、今や子爵だ」と、かつての土方の共闘者の名前を出す。だが、降伏して後に新政府の要人となった榎本よりも、最後まで武士としての矜持を貫いた土方を、犬童は恐れている。と同時に、心の底では認めている。元々、同じ武士として。その思いを断ち切るため、犬童は土方を処刑せず、服従させることにこだわったのだ。

 勝負がついたとき、犬童は、「やれ、最後の侍」と介錯を促す。すっかり悪人となっていた犬童だが、死ぬときぐらいは武士に戻って死にたかったのではないか。だからこそ、明治の世になっても侍であり続ける土方に、とどめを刺してほしかったのではないか。

 前半のラッコ鍋、都丹庵士(杉本哲太)一味との戦い、谷垣とインカラマッ(高橋メアリージュン)の恋。後半の網走監獄突入からの熱い熱い戦い、そしてウイルク(井浦新)との邂逅……。本作は、原作前半部の見どころが、事前の想像をはるかに超えるクオリティで再現されていた。そしていよいよ次作では、杉元・谷垣・鯉登・月島らの樺太道中が始まると思われる。スチェンカは観られるのか!? 谷垣は「時は来た。それだけだ」(棒読み)を言うのか⁉ そして、岩息舞治を演じるのは誰なのか。筆者的には壮年時の千葉真一のイメージなのだが、それはもうかなわない……。まだ本シリーズに登場していない、日本を代表するアクション俳優兼柔術家がいるのだが、彼ならどうだろうか。顔の濃さも、共通していると思うのだが。

 すでに原作で結末まで知っているというのに、これだけ続きが待ち遠しいシリーズも珍しい。WOWOW、映画、どちらでも構わない。とにかく一刻も早く、続きを制作していただきたい。もす!!

■公開情報
『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』
全国公開中
出演:山﨑賢人、山田杏奈、眞栄田郷敦、工藤阿須加、栁俊太郎、塩野瑛久、稲葉友、矢本悠馬、大谷亮平、高橋メアリージュン、桜井ユキ、勝矢、中川大志、北村一輝、池内博之、木場勝己、井浦新、玉木宏、舘ひろし
原作:野田サトル『ゴールデンカムイ』(集英社ヤングジャンプ コミックス刊)
監督:片桐健滋
脚本:黒岩勉
音楽:やまだ豊
主題歌:10-FEET「壊れて消えるまで」(UNIVERSAL MUSIC / BADASS)
アイヌ語・文化監修:中川裕、秋辺デボ
製作幹事:WOWOW・集英社
制作プロダクション:CREDEUS
配給:東宝
©野田サトル/集英社 ©2026 映画「ゴールデンカムイ」製作委員会 
公式サイト:kamuy-movie.com
公式X(旧Twitter):@kamuy_movie
公式Instagram:@kamuy_movie
公式TikTok:@kamuy_movie

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