『呪術廻戦』第3期のアニメ演出はなぜ挑戦的? 「死滅回游」が破壊した少年マンガの枠組み

『呪術廻戦』第3期の演出はなぜ挑戦的?

 「渋谷事変」の後、『呪術廻戦』はもはや学園ものではなくなり、秩序が崩壊した都市で殺伐としたバトルが描かれるようになる。それは言い換えれば、呪術高専を舞台とした平穏な日常が崩壊するということでもあった。少年マンガでは“日常を取り戻すための戦い”がよく描かれるものだが、虎杖たちは大切な仲間を失った上、その日常は取り返しのつかないところまで壊れている。

 また虎杖が「渋谷事変」から「死滅回游」にかけて絶望と挫折を味わい続けることも、異色の展開と言えるだろう。少年マンガの主人公は友情と努力で勝利を掴み取っていくはずだが、虎杖は一向に報われないままの状態で物語が進んでいく。

 さらにいえば「死滅回游」では虎杖とは関係ないところで話が進むことが多く、群像劇としての色合いが濃くなっている。そのため少年の成長物語が主軸ではなく、旧態依然とした名家の家督争いや自由な生き方を獲得しようとする少女の奮闘など、多様な物語に発展していくのだった。

 すなわち「死滅回游」は原作の時点で、少年マンガというジャンルから逸脱している節があったように思われる。だとすればその物語をアニメ化する際、ホラー風の演出や実写的な長回しなど、さまざまなジャンルを取り入れた演出に変化することも妥当と言えるはずだ。

 しかもアニメ版は決して作品の内容を改変しているわけではなく、原作のニュアンスを表現するためにこそ大胆な演出を導入している。“解釈違い”だと指摘する原作ファンの声が少ないことも、そうしたスタンスが理解されている証ではないだろうか。

 『週刊少年ジャンプ』から生まれた稀代の異色作を、MAPPAはいかにしてアニメ化してみせるのか……。その挑戦はこの先もまだまだ続くはずなので、期待を込めて見守っていきたい。

■放送情報
TVアニメ第3期『呪術廻戦「死滅回游 前編」』
MBS/TBS系28局“スーパーアニメイズム TURBO”枠にて、毎週木曜24:26~全国同時放送
キャスト:榎木淳弥、内田雄馬、浪川大輔、緒方恵美
原作:『呪術廻戦』芥見下々(集英社ジャンプコミックス刊)
監督:御所園翔太
シリーズ構成・脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン:矢島陽介、丹羽弘美
副監督:高田陽介
美術監督:東潤一
色彩設計:松島英子
CGIプロデューサー:淡輪雄介
3DCGディレクター:石川大輔(モンスターズエッグ)
撮影監督:伊藤哲平
編集:柳圭介、ACE
音楽:照井順政
音楽プロデューサー:小林健樹
音響監督:えびなやすのり
音響制作:dugout
制作:MAPPA
オープニングテーマ:King Gnu「AIZO」(Sony Music Labels)
エンディングテーマ:jo0ji「よあけのうた」(Sony Music Labels)
©︎芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会
公式サイト:jujutsukaisen.jp
公式X(旧Twitter)https://x.com/animejujutsu

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる