木村拓哉はなぜ“型破りな役”が似合う? 『HERO』『教場』で証明してきたスターの本質

ここでは久利生公平というキャラクターよりも、木村拓哉という俳優にして稀代の大スターである彼が立ち上げる人物像に着目してみよう。久利生のことを「型破り」と称したが、これは何も破天荒な言動を繰り広げる人物のことを指すものではない。「型破り」とは、破るべき「型」があってはじめて成立するものだ。平成という時代の顔として走り続けていた木村は、撮影に臨む作品、演じる役ごとに、新たなキムタク像を立ち上げてみせた。そしてそのいずれもが、彼にとって代表作であり、名作だというのは先述したとおりだ。

どのキャラクターも唯一無二の個性を持っていて、すべての作品が稀代のスター=木村拓哉の存在と固く手を握り合っている。つまり各作品ごとに登場する強烈なキャラクターが、木村拓哉という俳優のイメージを固定化させてしまうのだ。だから木村の演技は、お笑い芸人をはじめとする多くの人々からモノマネをされたりもする。それは一つひとつのキャラクターと木村の演技が、どれも唯一無二だからである。これらを改めて並べてみると、似たものはないことが分かるだろう。共通しているのは、木村拓哉という俳優が演じていること。そして誰もが「型破り」な人物であること。それだけである。

木村はひとつの作品内で立ち上げたキムタク像を、次の作品ではひっくり返す。“大スター”であり、平成から令和のいまにかけて“時代の顔”であり続けている以上、特定のイメージに囚われるのは仕方のないこと。これを演技に内包させつつ立ち上げたのが『HERO』シリーズの久利生公平であり、完全に壊してゼロから立ち上げたのが『教場』シリーズの厳しい主人公・風間公親だと言えるだろう。キムタクは作品ごとに新しい「型」を作り、また次の作品ではこれを破る。時代の流れの中で、自身が立ち上げるべき主人公像のある種の“正解”を、更新し続ける。お茶の間で久利生公平に、そして劇場で風間公親と触れ合うことで、私たちはこの事実を実感できるはずである。
■放送情報
『HERO』
フジテレビ系『土曜プレミアム』にて、2月21日(土)21:00~23:20放送
出演:木村拓哉、北川景子、杉本哲太、濱田岳、正名僕蔵、吉田羊、松重 豊、八嶋智人、小日向文世、角野卓造、松たか子、佐藤浩市
監督:鈴木雅之
脚本:福田靖
音楽:服部隆之
©2015 フジテレビジョン ジェイ・ドリーム 東宝 FNS27社






















