僕の心の羊宮妃那がヤバイ 劇場版『僕の心のヤバイやつ』で追想される“尊死”メモリーズ

劇場版『僕ヤバ』僕の心の羊宮妃那がヤバイ

 そのほか有名な反復といえば保健室の場面だろうか。TVアニメ第3話で、市川が自身の想いを自覚する瞬間、第18話で山田の想いを察する瞬間、どちらも舞台は保健室である。

 もちろん“いつもの場所”図書室でのやりとりがテンポよく繰り返されるのも総集編ならではだ。冒頭の出会いからあの告白に至るまで、重要なできごとは常に図書室とともにあった。

 あまり目立たないかもしれないが「飲食禁止」の張り紙が掲示されたときに、「誰も飲食なんてしないのに」と小ボケをかます山田には、彼女のパーソナリティがよく表れている。山田はいわゆる天然寄りのキャラだが、「おもしろい」と言われてよろこんでしまうように案外自ら積極的にボケていく人物でもあり、それは羊宮のキャラとも重なるところがある。たとえば「バンドリ!TV LIVE」第204回の内容は誰もが瞬時に思い出せるように、羊宮自身もわりと小ボケをかましがちというのはよく知られている。

バンドリ!TV LIVE 2024 #204

 同番組で羊宮が披露したエピソードトークの内容は事前に共演者(立石凛・小日向美香)に知らされていたが、立石と小日向は初見のふりをして番組を進行させていた。ところが羊宮はエピソードを話し終えると、事前に内容を2人に知らせていたことを暴露。精いっぱい初見の演技をしていたことに赤面する立石と小日向を見てはニヤついている羊宮妃那の表情は、何度反復してみてもいい。

 あるいはチョコを握りつぶしてしまい、溶けたチョコが手のひらにベッタリこびりついてしまった山田。手のひらをべろべろ舐める山田に、日常的にチョコを常食しているという羊宮の姿を重ねないでいるのは不可能である。2025年のバレンタイン期には羊宮がチョコを食す生配信が「EXTEND STEP HOOOOPE!」アカウントにておこなわれていたのは記憶に新しいが、今年は『僕ヤバ』というアニメーションの形をとってそれが反復されるのだ。

 市川が反芻し続ける山田との思い出は、こうして羊宮妃那のエピソードをも次々と掘り返していく。図書館での思い出が一通り反復されると、物語はおねえのライブシーンを繰り返して終幕へ向かう。おねえによる、市川と山田に対する祝福にも似た賛歌はあたかも循環構造を成して反復され、冒頭のシークエンスに回帰し、市川と山田は再開する。我々は市川と山田のことを考え続けずにはいられなくなる。

■公開情報
劇場版『僕の心のヤバイやつ』
全国公開中
キャスト:堀江瞬(市川京太郎役)、羊宮妃那(山田杏奈役)ほか
原作:桜井のりお(秋田書店『チャンピオンクロス』連載)
総監督:赤城博昭
監督:陳達理
脚本:花田十輝
キャラクターデザイン:勝又聖人
色彩設計:柳澤久美子
美術監督:黛昌樹
撮影監督:峰岸健太郎 竹沢裕一
編集:肥田文
音響監督:小沼則義
音響制作:ビットグルーヴプロモーション
音楽:牛尾憲輔
制作:シンエイ動画
製作:僕ヤバ製作委員会
配給:東映 エイベックス・ピクチャーズ
©桜井のりお(秋田書店)/僕ヤバ製作委員会
公式サイト:https://bokuyaba-anime-movie.com/  
公式X(旧Twitter):@bokuyaba_anime
公式TikTok:@bokuyaba_anime

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