議論呼ぶ『葬送のフリーレン』の魔族描写 『まおむす』『ひめごう』など“優しい魔族”も

魔族を描くアニメのなかには、『葬送のフリーレン』とはまったく違う想像力が見られるものも少なくない。たとえば現在TVアニメの第2期が放送されている『姫様“拷問”の時間です』はその典型だ。
同作は国王軍と魔王軍が争う世界という設定。王女にして騎士団長でもある主人公・姫は魔王軍に囚われ、さまざまな“拷問”を受ける。しかし実はこの“拷問”は一般的な想像とは真逆のもので、焼き立てトーストやあつあつのたこ焼きを見せつけ、王国の秘密を聞き出そうとする魔族たちの姿が描かれるのだった。
同作の魔族は人間が好むものをとことん理解しているどころか、自分たちもほとんど同じ価値観で生きている。あくまでコメディではあるが、争いを越えて分かり合うことの大切さを描いた“優しい”アニメといえるだろう。
また、2020年に放送された『魔王城でおやすみ』もこれに通じるところがある。同作は魔王城に幽閉されたスヤリス姫が安眠を求めて城内を探索するファンタジーコメディなのだが、姫がどれだけ好き勝手に振る舞っても、魔族たちは彼女を本気で咎めようとしない。むしろ過剰なほどに親切で、敵とは思えないほどだ。
また現在放送中の『魔王の娘は優しすぎる!!』も注目すべき作品。作中の魔族は、人類を脅かす“悪の権化”として位置付けられているものの、魔王の娘・ドゥに翻弄される姿はどこか憎めない。優しすぎるドゥを立派な魔族にするため、教育係のジャヒーは次々に試練を与えるが、人間界を何度も行き来するうちに、村人たちから「よぉ! お迎えかい?」と気さくに声をかけられる存在になっていく。その光景は、人類の脅威であるはずの魔族像を軽やかに裏切るものだ。
かつて暴力と権力で世界を侵略した世界最強の魔王・アーリマンでさえも、ドゥのことになると親バカ全開。試練の成果などほとんど出ていないにもかかわらず、ちょっとのことでドゥを褒めちぎる姿には、もはや威厳ある魔王の面影はない。親という概念を持たない『葬送のフリーレン』の魔族と比べると、人間に近い感情が押し出されている。
世間一般で悪者とされがちな魔族を人間味のある存在として描き、敵と味方の区別をいい意味で“なし崩し”にする……。そんな魔族系コメディが近年いくつも生み出されているのは、それだけ「やさしい世界を見たい」という願いが強まっているからなのかもしれない。
■放送情報
TVアニメ『葬送のフリーレン』第2期
日本テレビ系“FRIDAY ANIME NIGHT”にて、毎週金曜23:00~放送
キャスト:種﨑敦美(フリーレン役)、市ノ瀬加那(フェルン役)、小林千晃(シュタルク役)、岡本信彦(ヒンメル役)、東地宏樹(ハイター役)、上田燿司(アイゼン役)、新垣樽助(ゲナウ役)、上田麗奈(メトーデ役)、井上和彦(南の勇者役)
原作:山田鐘人・アベツカサ(小学館『週刊少年サンデー』連載中)
監督:北川朋哉
副監督:原科大樹
監督協力:斎藤圭一郎
シリーズ構成:鈴木智尋
キャラクターデザイン:高瀬丸、小嶋慶祐、藤中友里
コンセプトアート:吉岡誠子
デザインワークス:小橋弘侑、原野瑠奈、瀬口泉、原科大樹
美術監督:高木佐和子
美術設定:杉山晋史
色彩設計:大野春恵
3DCGディレクター:今垣佳奈
撮影監督:伏原あかね
編集:木村佳史子
音響監督:はたしょう二
音楽:Evan Call
オープニングテーマ:「lulu.」Mrs. GREEN APPLE
エンディングテーマ:「The Story of Us」milet
アニメーション制作:マッドハウス
©山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会
公式サイト:https://frieren-anime.jp/
公式X(旧Twitter):https://x.com/Anime_Frieren
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@anime_frieren























