『ベビわる』に並ぶ最強のバディ誕生か 『俺たちバッドバーバーズ』は阪元裕吾ファン必見

阪元裕吾ファン必見の『オレババ』

 阪元裕吾は、いま日本で最も面白いバディアクションを撮る映画監督だ。朝ドラ『ばけばけ』(NHK総合)主演・髙石あかりを見出した『ベイビーわるきゅーれ』(以下、『ベビわる』)シリーズや、裏の代表作とも言える『最強殺し屋伝説国岡』(以下、『国岡』)シリーズは、アクションフリークにとっては義務教育といってもいい。

 そして今、新たなバディアクションが放送中だ。『俺たちバッドバーバーズ』(テレ東系/以下、『オレババ』)である。今回バディを組むのは、中島歩と草川拓弥。中島は阪元作品初参加、草川はドラマ『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』(テレ東系/以下、『ベビエブ』)に続いての参加である。彼らの仕事は、表の顔は理容師、そして、裏の顔は「裏用師(りようし)」、つまり、闇の便利屋さんである。報酬300万円と引き換えに、どのような仕事でも請け負う。

 まずは、日暮歩役の中島である。近作でいうと、前作の朝ドラ『あんぱん』(NHK総合)における、主人公・柳井のぶ(今田美桜)の前夫・若松次郎役や、Netflixシリーズ『イクサガミ』における大久保利通(井浦新)の秘書・永瀬心平役が印象深い。どちらも誠実な二枚目役である。それも、ちょっと日本人離れした二枚目だ。ハンフリー・ボガートのようでもある。「君の瞳に乾杯」とか言ってほしい。

 一方、本作の中島はというと、サイドを刈り上げ襟足のだいぶ長い、散髪をサボった佐々木健介のような髪型。Tシャツは常にインであり、袖はノースリーブか肩まくり。一人称が「あたし」のときがある。足をぴったり閉じて座る。カリスマ美容師を目指していたがいじめられて退職。うるさい。かと思えばビビり。弱い。

 二枚目要素が見当たらない。かなり振り切った三枚目である。そのファッションセンスおよび表情や言動の暑苦しさを観ると、昭和からタイムスリップしてきたのかと思ってしまう。かと思えば、本職の理容師のときはいつものシュッとした男前であり、その乱高下に乗り物酔いしそうだ。

 一方、相方の月白司役の草川。彼はプロの裏用師であり、徒手格闘のエキスパートでもある。ダンス&ボーカルグループ・超特急の「筋肉担当」だけあって、その身体能力の高さから繰り出す殺陣は、スピーディーかつ美しい。そして、『ベビわる』シリーズや『国岡』シリーズと違い、彼は殺し屋ではない。殺傷や、必要以上に傷つけることを目的としていない。

 印象的なのが、彼が敵をカニ挟みで倒すシーンである。本来のカニ挟みは、相手の両足に自分の両足を横から絡め、後方に倒す。下手に耐えるとヒザに大きな負荷がかかり、最悪靭帯断裂や骨折につながる。また後ろにつんのめって倒れるため、受け身が下手な人間なら後頭部を痛打する。柔道でも、ロス五輪金メダリスト山下泰裕選手がこの技で左足腓骨を骨折したことがあり、後に禁止技となった。ちなみに筆者もこの技をかけられて靭帯損傷したことがある。靭帯が切れるときの「……ぶちっ……」という音が、今も耳から離れない。『ベビわる』シリーズなどでは、こちらを使うだろう。

 一方、彼の使うカニ挟みは前に倒す。初代タイガーマスクが、つなぎ技としてよく使っていたアレである。わからない世代の方は、YouTubeなどで「タイガースピン」で検索してほしい。これならヒザに余計な負担はかからないし、受け身ができない人間でも反射的に手をつくので、大ケガにはつながらない。殺傷目的ではないなら、こちらを選ぶほうが理にかなっている。

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