『ミルキー☆サブウェイ』『アポカリプスホテル』 2025年ダークホース的傑作アニメを総括

2025年ダークホース的傑作アニメを総括

2025年夏クール 『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)』

『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』大ヒットの衝撃 プレスコ会話劇の妙と若手作家の未来

亀山陽平監督のアニメ作品『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』が大絶賛のうちに全12話の放送・配信を終えた。ギャル語で喋るサイボーグ…

 夏アニメで話題をかっさらったダークホース枠といえば、なんといっても『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』だろう。1話あたり約3分半という尺のショートアニメでありながら、異例とも言える話題性を見せた。

 同作はクリエイターの亀山陽平が、バンタンゲームアカデミー時代に卒業制作で作った『ミルキー☆ハイウェイ』を元にした作品。そのため『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』に関しても、亀山が監督・脚本・キャラクターデザインなど制作の大部分を担当している。

 なぜ人気が出たかといえば、独特のテンポで繰り広げられる会話シーンが大きな魅力。一般的なアニメとはまったく違う質感が宿っており、チハルとマキナ、カートとマックスといったキャラクターたちの“チル”な掛け合いが人気を博した。

 また同クールには、『わたなれ』こと『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)』も話題に。高校デビューした元陰キャ女子が“百合ハーレム”を築き上げるという内容で、「百合アニメで大ヒットは難しい」という通説を覆すような旋風を巻き起こした。

劇場版『わたなれ』の反響でアニメ映画界激震 唯一無二の“ゴミ”映像体験を見逃すな

『わたなれ』劇場版は、コスプレを通じた主人公の成長と恋愛模様を描く良作。だが、終盤の台無しな「決断」が観客を苦笑の渦に巻き込んで…

 2025年11月に劇場で公開された続編の先行上映も、各地で満席が相次ぎ、上映期間が延長される事態に。ついでに「れな子が悪いんだよ」という“作品内で誰も言っていないセリフ”がネットミームの仲間入りを果たすことになった。

2025年秋クール 『野原ひろし 昼メシの流儀』『終末ツーリング』

『孤独のグルメ』とは正反対? 『野原ひろし 昼メシの流儀』大ヒットの理由を分析

さまざまな話題作が揃った2025年秋アニメのなかでも、大きな注目を集めているのが『野原ひろし 昼メシの流儀』だ。ニコニコ動画で無…

 そして2025年を締めくくる秋クールでは、『野原ひろし 昼メシの流儀』を挙げないわけにはいかないだろう。もともとアニメ化の前からネットミーム的な人気はあったものの、そのスケールをはるかに超える話題性を生んだ。

 やはりネット上での反響がすさまじく、『ニコニコ動画』では第1話が配信後約2週間で100万再生を記録。YouTube上のノンクレジットオープニング映像は2カ月で1,100万再生を突破している。

 内容は最近流行りのグルメ系スピンオフで、お馴染みの野原ひろしを主人公としているが、思わずツッコミを入れたくなるシュールなセリフが随所に登場。第4話では、「テーマパークに来たみたいだぜ テンション上がるなぁ~」というネット上で何度も擦られてきたセリフがアニメ化され、視聴者が盛り上がっていた。

 また同クールは、さいとー栄のマンガを原作とした『終末ツーリング』も印象的。誰もいなくなった終末世界をヨーコとアイリという2人の少女が旅をしていくという物語で、ほのぼのと見せかけてわりと重めな展開を描いており、異色のツーリングアニメとしてじわじわと人気を伸ばした。

 前評判からは分からない意外な出会いが生まれるのも、アニメ鑑賞の醍醐味と言える部分。2026年にも思いがけない作品の大ヒットに注目したい。あえて1作品を挙げるなら、ホラーブームも相まって『カヤちゃんはコワくない』あたりがヒットするかもしれないが、果たして結果はどうなるのか……。

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