2025年の年間ベスト企画
田幸和歌子の「2025年 年間ベストドラマTOP10」 傷んだ社会で“個”はどう生き延びるか

漫画『セトウツミ』の作者で、アニメ『オッドタクシー』シリーズ脚本の此元和津也によるオリジナル脚本ということで、放送開始前から期待していた。当初は魅力的なキャラクター造形とビビッドでテンポの良い会話劇、センスの良い音楽や映像で、同じ言葉を軸に別の人物・シチュエーションで微妙に重なり合いすれ違う展開を観ているだけで楽しかった。しかし、各登場人物の背景が徐々に見え、結びついてきて、さらにその一部キャラクターだけが誰とも交わらないことに気づいた瞬間、「時間軸」のズレと、物語の本質が見えてくる。
そこから最終回の最後の最後まで予想を裏切られ続け、圧倒された。もう一度最初から2巡目を観てみると、第1~2話にほとんどの要素が詰まっていること、ポスタービジュアルの言葉の本当の意味も初めてわかり、ぞわぞわした。都市に適応しながら生きる人間を描きつつ、その過程で生まれる歪みや孤独を静かに積み重ねていく手腕は見事というほかない。
この10年ほど、エンタメのなかで社会問題を描き、多くの人に気づきを与え、間口を広げてきたのは野木亜紀子作品だった。野木作品によって作り手も観る側も社会問題への意識が高まり、土壌が整備されてきた。その上で今年は、さまざまなジャンル・手法により「個」が描かれ、その背景に社会が滲むようになってきた。社会を劇的に変えるヒーローは登場しない。代わりに描かれるのは、傷みを抱えた社会のなかで関係を続け、暮らしを営み、今日をやり過ごす「個」の姿だ。これは連ドラの成熟ではないだろうか。
2025年のドラマは、希望を宣言しなかった。しかし、社会がうまく機能しない前提に立ったうえで、それでも人が人として生きるための関係性や時間を、丁寧にすくい取ってみせた良作が多かった。
■配信情報
ドラマプレミア23『シナントロープ』
Prime Videoにて独占配信中
ネットもテレ東(テレ東 HP、TVer、Lemino)にて見逃し配信
出演:水上恒司、山田杏奈、坂東龍汰、影山優佳、望月歩、鳴海唯、萩原護、高橋侃、遠藤雄弥、アフロ、森田想、染谷将太
原作・脚本:此元和津也
監督:山岸聖太
音楽:江﨑文武
オープニングテーマ:柴田聡子 & Elle Teresa「ときめき探偵 feat. Le Makeup」
エンディングテーマ:S.A.R.「MOON」
チーフプロデューサー:祖父江里奈(テレビ東京)、平賀大介(P.I.C.S.)
プロデューサー:前田知樹(テレビ東京)、原田宗平(P.I.C.S.)、神戸麻紀(P.I.C.S.)、竹迫雄也(アスミック・エース)
制作:テレビ東京、P.I.C.S.
制作協力:アスミック・エース
製作著作:「シナントロープ」製作委員会
©此元和津也/「シナントロープ」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/synanthrope/
公式X(旧Twitter):https://x.com/premiere23_tx
公式Instagram:https://www.instagram.com/premiere23_tx/
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@premiere23_tx





















