『良いこと悪いこと』“博士”古舘祐太郎の犯人説はミスリード もう一人の“ドの子”が登場

1週の休止を挟んで12月6日に放送された『良いこと悪いこと』(日本テレビ系)は第8話。さっと前回のエピソードを振り返っておくと、小学生時代に6人組だったとずっと思い込んでいた高木(間宮祥太朗)たちは、“博士”と呼ばれていた森という“7人目”の存在を思い出す。唯一森のことを覚えていた羽立(森優作)は、一連の事件の犯人が森であると確信した上でコンタクトを取り、ひとりで約束の場所へと向かう。そして高木たちの目の前で何者かに斬られ――彼が小学生時代に描いた「サムライになる」という夢になぞらえるように――命を落としたのである。
そして今回、容疑者の最有力である森が高木の前に現れる。もとい、前々からすぐ近くにいたことにようやく高木が気付くのである。高木の娘・花音(宮崎莉里沙)の担任として、第3話では花音のセリフのなかに、第5話でははっきりと高木や園子(新木優子)たちと同じ空間にいたのだから。ドラマが終盤に差し掛かってきたタイミングで、まっさらに新しい登場人物がキーパーソンとして登場するのは禁じ手。そういった意味では、20年という時間経過によって欠落してしまった記憶というものを正攻法に描いていると評価できよう。

しかしながら、森(古舘祐太郎)はミスリードであることが判明する。高木たちが犯人につながる手掛かりとして探していた、タイムカプセルに入っていたはずのDVD(これは以前、元担任だった大谷が校長室で観ていたものだ)を保持していたし、羽立との約束通り前回のあの場所にもいた。けれども一連の復讐劇を仕掛けた犯人ではなく、むしろ彼は小学生時代から変わらず、“良い子”でも“悪い子”でもない、単なる巻き込まれたくないと願う“傍観者”に過ぎなかったのである。

中盤で高木の家に森が訪ねてきた際のやり取りを受けて、本当に森が犯人なのだろうかと疑問を抱く高木。森に言われた言葉で改めて自分が園子に対してしてきたことを省みる。そして終盤、学校の教室で繰り広げられた二度目の対峙において、高木は明らかに森を一連の事件の犯人とは見做していない様子で接している。しかも森自身の口から「やっていない」と明言されるのではなく、高木が彼の反応から想像し、気付き、理解するということに重きが置かれる。ミステリとしては“振り出しに戻る”ようなものだが、あくまでも高木が過去と真剣に向き合い続ける様が強調されるために、森という人物が機能したわけだ。

とはいえ、そんな森から受け取ったDVDは、物語の終盤へとつながる極めて重要な役割を担っていることには違いない。森を連れてイマクニへ行き、そこで園子や小山(森本慎太郎)たちと一緒に中身を確認する高木。映像の最後に突然現れるのは、「瀬戸紫苑」という名のクラスメイト。字幕上で“どの子”と“ドの子”が混在していることは前半のエピソードの頃からSNS上などでは指摘されていたが、この紫苑が後者であることがようやく明示される。

第4話で羽立が園子を“ドの子”と呼び、ピアノの工作を破壊するという“ドの子”に対する加害とランドセルをゴミ箱に捨てる“どの子”(=園子)に対する加害が彼の記憶のなかでごっちゃになっている描写があった。この辺りについてはまだ細かく考察する余地が残されているが、いずれにせよ紫苑もまた森と同様、高木たちの記憶から完全に欠落していた存在。おそらく最後のキーパーソンであるが、セオリーに則れば、紫苑自身ではなく紫苑と密につながる人物が真の黒幕として、すでに登場しているなかにいるのだろう。
ガクカワサキが脚本を手がけるノンストップ考察ミステリー。小学校の同窓会で、連続不審死が発生。同級生全員が容疑者となる中、犯人を巡る探り合いが始まる。
■放送情報
『良いこと悪いこと』
日本テレビ系にて、毎週土曜21:00~放送
出演:間宮祥太朗、新木優子、森本慎太郎(SixTONES)、深川麻衣、戸塚純貴、剛力彩芽、木村昴、藤間爽子、工藤阿須加、松井玲奈、稲葉友、森優作、水川かたまり(空気階段)ほか
脚本:ガクカワサキ
演出:狩山俊輔、滝本憲吾、長野晋也
プロデューサー:鈴木将大、妙円園洋輝
チーフプロデューサー:道坂忠久
音楽:Jun Futamata
制作協力:ダブ
©日本テレビ
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