『良いこと悪いこと』木村昴、“実写俳優”としての存在感　考察を加速させる重要人物に

　現在、さまざまな考察がSNSを中心に大きな話題となっているドラマ『良いこと悪いこと』（日本テレビ系）。22年前に埋めたタイムカプセルを掘り起こしたことが発端となり、小学生時代の同級生でありながら、それぞれいじめの加害者と被害者の関係でもある高木（間宮祥太朗）と園子（新木優子）が、真犯人を見つけ出すためにタッグを組む群像劇ミステリーだ。

　かつてのクラスメイトたちが次々と犯人の魔の手にかかるなか、第4話でもっとも衝撃的だったのは、高木がよく通うスナック“イマクニ”の常連客でもあった宇都見啓（木村昴）の正体が“警察官”であることが明らかになったラストシーンだろう。これまで彼は、自身の仕事を「しがない公務員」と語っていた。しかし、まさか小学校の同級生を狙う連続殺人事件が起こっている可能性に気づき、現場に赴く部下に指示を出す人物だとは思いもよらなかった。

　すると、これまで“イマクニ”に通っていた事実や、高木が同級生たちと交わしていた会話に口を出していたのが、まったく別の意味を帯びてくることになる。どういう意図でスナックの常連客となったかは未だに定かではないが、彼が今後、物語の盤面を動かす重要なキャラクターとなるのは間違いないだろう。

　そんな宇都見を演じるのが、アニメ『ドラえもん』のジャイアンの声優としても知られる木村昴だ。今や声優界を代表して多岐にわたるジャンルで活躍する木村だが、声だけでなく身体を駆使した演技も絶え間なく披露している。2002年に子役として『アニー』で初舞台を踏んだあとは、2009年に自身が旗揚げした劇団「天才劇団バカバッカ」でも座長として精力的に活動。言葉を放つだけで際立つ声だけでなく、場の空気を一気に掴む存在感は舞台での経験も大きい。

　近年は実写映像作品にもコンスタントに出演を果たしている。2022年に『鎌倉殿の13人』（NHK総合）で大河ドラマ初出演を果たすと、翌年に放送された『どうする家康』（NHK総合）では、松本潤演じる徳川家康の家臣になる渡辺守綱に抜てきされた。「徳川十六神将」のひとりに数えられる守綱は、お調子者だがいざというときに頼りになる、まさに“ジャイアン”のような性格の持ち主だ。そんな守綱の立ち振る舞いやぶっきらぼうな性格を忠実に体現しながら、迫力のある声で周りを鼓舞する姿は、大河ドラマの中でも異色の存在感を放っていた。

　さらに、ドラマ『クラスメイトの女子、全員好きでした』（2024年／読売テレビ・日本テレビ系）では、俳優として連続テレビドラマの初主演を飾る。

　これまではガタイの良さを活かした豪快なアクションや、誰もが聞き馴染みのある声を特徴とした明るいキャラクターが注目されていた木村。しかし、本作で演じた枝松脛男は、小説家志望の哀愁が漂う何とも頼りないダメ男だ。タイトルにもある通り、個性豊かなクラスメイトの女の子たちに好意を寄せていた過去のエピソードを回想していくなかで、だらしなくも子ども心を胸に秘めたような彼の演技は、よりいっそう視聴者の郷愁を誘うことに成功していた。もちろん、回想時のナレーションのすばらしさは言うまでもないだろう。

　コミカルな芝居だけでなく、9月に公開された映画『ブラック・ショーマン』ではどちらかと言えばヒールな役柄も難なくこなしていたように、どんなジャンルでも任された役割をこなせる木村は、実写作品でも重宝される存在だ。

　ここまで放送されている『良いこと悪いこと』では、高木や小山を中心とするクラスメイトたちのグループ、園子と関わりの深い『週刊アポロ』編集部のメンバー、そして、宇都見が所属する警察側がそれぞれ独立した存在として動いている。

　しかし、第6話では園子と同じ編集部メンバーの東雲（深川麻衣）が高木たちと接触している様子も映し出されており、宇都見の正体が登場人物たちにバレるのも時間の問題。4人目の犠牲者となる存在も仄めかされるなか、木村が演じる宇都見の立ち回りは物語の重要なキーとなりそうだ。

■放送情報
『良いこと悪いこと』
日本テレビ系にて、毎週土曜21:00～放送
出演：間宮祥太朗、新木優子、森本慎太郎（SixTONES）、深川麻衣、戸塚純貴、剛力彩芽、木村昴、藤間爽子、工藤阿須加、松井玲奈、稲葉友、森優作、水川かたまり（空気階段）ほか
脚本：ガクカワサキ
演出：狩山俊輔、滝本憲吾、長野晋也
プロデューサー：鈴木将大、妙円園洋輝
チーフプロデューサー：道坂忠久
音楽：Jun Futamata
制作協力：ダブ
©日本テレビ
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