宇垣美里が乗り越えたアナウンサー時代の“どん底”と自身の結婚観 「答えがまだ出ていない」

現在テレ東ほかで放送中の『できても、できなくても』で連ドラ初主演を務めている宇垣美里。他人のことを優先しがちな主人公・桃生翠(宇垣美里)が、ブライダルチェックで不妊症が発覚したことをきっかけに、7年間交際していた彼氏に振られてしまうところから物語がスタートした本作。普通のことが普通にできると信じていた翠が、自分にとって本当の幸せを見つけるために奮闘していく姿が話題を集めている。
そんな宇垣に、撮影の様子や自身の結婚観、さらにはアナウンサー時代の思い出まで、たっぷりと語ってもらった。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】
アナウンサー時代は「高飛びしちゃおっかな」と思ったことも
ーーまずは連ドラ初主演の心境について教えてください。
宇垣美里(以下、宇垣):演技のお仕事はすごく楽しいなと思っていたんですけど、まだまだだなと感じることも多いなか、「主演を」と言っていただけたことに喜びを感じています。自分で望んでできるものではないというか、お声がけしていただかないとできないことだと思うので、ご縁に感謝だな……と。
ーー「いつか主演をやりたい」という気持ちはあったのでしょうか?
宇垣:いろいろな役をやりたいとか、もっとたくさんお仕事をしたいという気持ちはありましたが、ちゃんと「主演をやりたい!」と考えたことはなかったです。なので、お話をいただいたときは、「えっ、主演?」と聞き返してしまいました。
ーー不妊症の診断を下される翠の姿を描いた本作は、社会的な意義のあるドラマにもなっていますよね。
宇垣:そうですね。今までは、「なぜ子どもができないんだろう?」と悩んでいる人が多かったと思うんです。でも、医療が進んだからこそ“不妊症”と知ることができるようになった。これは、本人の努力でどうにかできることではないし、その人のせいでもないということです。前時代的な価値観だとは思いながらも、思い描いていた“普通の人生”に参加できなくなってしまった衝撃は、他人事ではないなと。台本を読みながら、共感する部分も多かったです。
ーーどのような部分に共感されましたか?
宇垣:私はいま34歳なので、翠ちゃんとは同世代なんです。結婚していなくて子どももいないので、「まだ結婚してないんだね~」みたいなことを言ってくる人もいたりして。身近な人に責められた経験はないですけど、そういう目線で見てくる人がいるのも知っています。もちろん、そうじゃないのは分かっているけれど、結婚して子どもを産むのが正しいとする価値観もあるじゃないですか。私自身も、どこかに申し訳ない気持ちがあることを自覚しているので、そのあたりに共感していました。
ーー宇垣さんご自身は結婚について現在どういう捉え方をしていますか?
宇垣:私は、結婚しないって決めたこともないですけど、結婚が必要なのかどうかは分かっていなくて。もちろん、誰かと一緒にいると決めることや、そう思えるパートナーがいることは、生きていく上での支えになると思います。でも、それが恋愛結婚である必要はあるのか、法律婚である必要はあるのか、そもそも異性である必要はあるのか……ということに対する答えがまだ出ていなくて。絶対に“こうあるべき”みたいなことはないので。もちろん、それらを選択する可能性もありますけど。
ーー翠は、ブライダルチェックで不妊症が発覚したあとに、7年間付き合った彼氏にフラれ、さらにはその噂が社内で広まり退職をすることに……と、どん底な状態から始まりました。宇垣さんにとってもそういうどん底の時期はありましたか?
宇垣:うーん。基本的に、自分のことを恵まれていると思っていて。すごく単純なので、寝たら「まあ、いっか」となってしまうタイプなんですよね。だから、嫌な気持ちが長続きしないんです。
ーーそれはいいことですよね。
宇垣:ただ、新入社員のときに落ち込んだ経験はあります。出身が神戸なので、関西弁なんですね。そしたら、「イントネーションが間違っている」と話す度に指摘を受けて。自分は方言が薄いほうだと思っていたんですけど、無意識の部分にしっかり残っていたみたいで。本来はおしゃべりなのに、しゃべるのが嫌になってしまった時期がありました。あと、友達が同期くらいしかいないのに、それぞれ番組が始まったら誰にも会えない……みたいな。一部の発言を切り取って、何か言われるのも最初はしんどかったですね。「高飛びしちゃおっかな」と思ったこともありました(笑)。
ーーわりと壮絶ですね……。
宇垣:いま振り返ると、アナウンサー時代は本当に頑張っていたなと思います。外から見ていても、「もうちょっと、誰かが助けてあげればいいのに」と思いますもん。社員なのでもちろん電車通勤ですし、危ないことがあったときに、守ってくれる人もいないし。あと、今はマネージャーさんがやってくれているお仕事を、当時は全部自分でやっていたので。
ーーたとえば?
宇垣:番組側と連絡をとってスケジュールを確認して……とか。番組ごとにスタイリストさんに衣装を発注するのも自分でやっていました。でも、そのしんどさもちゃんと知れたから、今は感謝の気持ちを持って表に出るお仕事を心の底から楽しめているんだと思います。
























