『チェンソーマン レゼ篇』をもっと深く楽しめる? 本編の“意外と気づかない”小ネタ

日本のみならず北米でも週末興行収入ランキング第1位を獲得し、世界的な大ヒット作となっている劇場アニメ『チェンソーマン レゼ篇』。見返すたびに新たな発見がある内容ということで、2度、3度と観に行くリピーターも続出しているようだ。
そこで本稿では同作をより深く楽しめるように、作中に仕込まれた小ネタの数々を紹介していきたい。
※本稿は『チェンソーマン レゼ篇』のネタバレを含みます。
TVアニメ最終話とのつながりに注目
同作はデンジとパワー、早川アキが散らかったテーブルの周りで雑魚寝しているところから幕を開けるが、この描写はTVアニメ版最終話のラストシーンとつながっている。3人の服装が一致している上、空になった寿司桶が卓上に置いてあるところも同じだ。TVアニメ版が酒盛りをしている最中の夜を描いており、『レゼ篇』では次の日の朝という時系列となっている。
レゼに乙女心が芽生えていた?

またデンジがレゼと初めて出会うシーンでは、解釈の余地がある描写が登場。電話ボックスに入ってくるときのレゼが、首に手を添えているように見えるのだ。ご存じのとおりレゼは首のピンを抜くことでボムに変身できるため、「元々はデンジを出会い頭で始末するつもりだったのかもしれない」という想像が膨らんでしまう。
さらにボムになったレゼが公安対魔2課の訓練施設を襲撃するシーンで、彼女は身体を失う。下着を履いていない状態で再生したレゼに対して、デビルハンターの野茂は「ずいぶん目にいい格好してるな」と軽口を叩く。しかしその後、デンジの乗った車を追いかけるレゼは下着を再着用していた。
ごく短いあいだに起きた変化だが、レゼはいつ着替えたのか。ことの真相については、入場者プレゼント第1弾の小冊子『恋・花・チェンソー・ガイド』で触れられており、どこかの家で洗濯物の下着を盗んできたのではないか……と作者・藤本タツキが語っていた。冷徹に任務を遂行しているように見えるレゼだが、実は野茂の言葉で恥じらいを覚えていたのかもしれない。あるいはデンジのもとに向かうにあたって、「恥ずかしい格好では会いたくない」という乙女心を発揮したという可能性もあるだろうか。
アニメオリジナル演出と美術的オマージュ

レゼの描写といえば、蘇ったデンジと戦闘する際に「おいでデンジくん、私たちの戦い方ってのを教えてあげる」と挑発する場面が存在する。これは夜の学校に忍び込んでプールに入り、「私が全部教えてあげる」と誘う場面の反復となっているが、たんにセリフだけでなく、両腕を差し出すポーズまで一致している。ちなみに原作ではセリフだけの反復だったので、ポーズに関してはアニメオリジナルの演出となっている。
作画的な小ネタでいえば、ボムとの戦闘中に、ジャック=ルイ・ダヴィッドの名画「サン=ベルナール峠を越えるボナパルト」のパロディと思われるカットが登場。デンジがチェーンを手綱代わりにして“ビーム”ことサメの魔人に騎乗する姿が、馬にまたがってポーズを決めるナポレオンの姿と重ね合わされて神々しく描かれている。
またデンジがチェンソーを両腕から生やすシーンでは、爆発エフェクトのなかに数フレームだけさりげなくポチタの顔が浮かび上がるという小ネタが仕込まれていた。




















