山下大輝×内山昂輝、『ヒロアカ』との出会いと変化 「原点を思い出させてくれる」

TVアニメ『僕のヒーローアカデミア FINAL SEASON』が放送スタート。2016年の第1期放送から約10年にわたり多くのファンを熱狂させてきたヒーローと敵〈ヴィラン〉の戦いが、ついに最終章に突入する。
主人公・緑谷出久(デク)を演じているのは山下大輝。最強の敵〈ヴィラン〉死柄木弔役を内山昂輝が担当している。声優人生とともにあったというほど思い入れのあるキャラクターや作品に対して、2人は最終章を前にして何を思うのか。
山下大輝×内山昂輝にとってのデクと死柄木
——『僕のヒーローアカデミア』(以下、『ヒロアカ』)第1期の放送は2016年ということで、お2人とも長い間それぞれデク、死柄木を演じられてきました。デクと死柄木はお2人のキャリアや人生にとって、どのような存在になりましたか?
山下大輝(以下、山下):もはや声優人生の半分以上を一緒に過ごしているキャラクターなので、続けられて本当に幸せなことだなと思います。同時に、デクというキャラクターは毎回一番最初の原点を思い出させてくれるキャラクターなので、ファイナルシーズンまで長い年月が経ったとしても、いつだって最初のフレッシュな気持ち、大切にしなくちゃいけない思いを思い出させてくれるんです。今後アニメ版の『ヒロアカ』が完結したとしても、きっと彼の心のベースにあるものをずっと大事にしながら、この仕事に取り組んでいくんだろうなだと思えるし、そうやって取り組んでいきたいなと思わせてくれるような存在になっています。
——声優人生の基盤と言えるような存在ですね。
山下:そうですね。「こういう人でありたいな」と指針になってくれているキャラクターなので、ずっと彼のようなメンタルでいられたら、自分の目の前に広がる世界がより豊かに感じられるだろうなと。彼のそういった部分を僕自身も受け取っていけたら、きっと素敵な人生が待ってるだろうなって思います。人としてもそうだし、声優としても彼のようになりたいな、なれたらいいなと思うので、今後も心の中でデクと一緒に走っていきたいです。

内山昂輝(以下、内山):ここまで長い週刊連載の作品を、最後までアニメ化する企画に関わらせていただけるのはなかなかない機会なので、得難い経験をさせてもらいました。キャラクターの表現に関して言うと、最初に『ヒロアカ』のお仕事が始まったときにはファイナルシーズンに至るまで死柄木がどういう変化をたどるのか、本当に何も知らない状態でした。それはキャラクターの過去についてもそうだし、未来についてもそうだし、先が読めない中でベストを尽くし続けるというのは貴重な経験でした。長きにわたるアニメの中で自分自身の肉体も年齢を重ねて変化していくし、自分の変化も含めてキャラクターも変化していくし、それを掛け合わせていくようなお仕事になっていったので、そういう意味でも1クールや2クールで完結するアニメのお仕事とは全然違うスパンでの表現になっていったんのではないかなという気がしています。
——肉体の変化があったということですが、10年近く演じられてきて声優として成長したと感じる部分はありますか?
山下:デクは成長が著しく描かれるキャラクターなので、第1期から比べるといろいろな変化が、一番わかりやすいキャラクターです。彼のベースにあるのは、とにかく自分の中にあるものを全て全力でぶつけていくこと。自分の身体にどう影響を及ぼしても構わないくらいの、自己犠牲の塊のようなところからのスタートだったのが、だんだんといろいろな経験を経て、自分を壊してしまうと救えるものも救えなくなってしまうリスクだったり、冷静に周りを分析しなければならない判断力など、いろいろなことを考えるために視野がどんどん広くなっていったと思います。僕自身もわりと熱中してしまうと周りが見えなくなってしまうことが多くて。でもデクが成長して周りの声にリアクションできるようになったように、ワン・フォー・オールとしていろいろな“個性”をコントロールできるようになったように、僕自身もただただ全力で大きい声出して全力でぶつかっていくだけだと、ただただ消耗して痛々しくなってしまうということを学んでいきました。全力なんだけれど、その全力の中でもいろいろな出し方があるよねというコントロールの仕方がわかってきて。そういった部分もデクとともに発見できたのが収穫というか、デクを演じることで得られた技術だなと感じています。

内山:「成長」というのかわからないですが、「やり方が変わっていった」ような気はします。具体的には難しいんですが、死柄木はストーリーの中ですごく変化していくキャラクターなので、それにあわせて今回はどういう表現が必要だろうかとか、どういうふうな声が今のキャラクターにあっていて、それをこのセリフでどう表現するべきかといったことを考えるようになりました。「成長しよう」と思ってそうしたのかはわからないですけど、シーズンごとに、キャラクターの変化にあわせてなんとか適応していこう、自分が声の仕事をする人たちに適応していこうとしていたら、自然とできることが増えていって、いま昔を思い出すと「ああいうこともできたかな」と思ったり。気づいたら強くなっていたような感じがします。僕は声がどんどん変わっていくタイプなので、前の声とは今は全然違うなと思うし、でも今の声なら「死柄木のこういう部分を拾ってあげられるな」と思えることがあって、「成長」というのかわかりませんが、シーズンごとにやるべきことを必死でやっていたら今の自分に辿り着いていた気がします。





















