『ばけばけ』“三之丞”板垣李光人が体現した“心の叫び” 新婚夫婦には早くも暗雲?

『ばけばけ』新婚夫婦に暗雲が立ち込める

 10月14日に放送された『ばけばけ』(NHK総合)第12話では、好調だった雨清水家の工場に暗雲が立ち込める。

 工場に顔を出した三之丞(板垣李光人)を見て、不審がるトキ(髙石あかり)と女工たち。不景気で工場の経営が傾き、出奔した長男の氏松(安田啓人)に代わって傳(堤真一)が資金繰りに歩く。留守をまかされた三之丞だったが、経営はさっぱり。従業員の平井(足立智充)に「一日一反」の増産を提案されても、うなずく以外に選択肢はなかった。

 不景気で金を貸してくれるものはなく、病を押して金策に走っていた傳だったが、ついに倒れてしまう。床に伏せる傳を看病しようにも、タエ(北川景子)は粥を作ろうとして焦がしてしまう始末。雨清水家は女中に暇を出して、家事を担う人間も不足していたのだった。

 「今朝初めてふすまを一人で開けた」タエのお嬢様ぶりもすごいが、困惑する三之丞のつらさも察するに余りある。それまで蚊帳の外にいたのに、家業と主が共倒れして、いきなり大荷物を背負わされた三之丞。どうしたらいいかわからない、という心の叫びがリアルだ。

 その頃、松野家では、勘右衛門(小日向文世)が銀二郎(寛一郎)に刀の振り方を教えていた。貧しい足軽の山根家は松野家より家格が下。立派な当主になるための教育であり、銀二郎は熱心に取り組む。けれども、どこか無理している様子だ。

 ほんの少し表情に出ただけでそのことを勘右衛門になじられ、「格の低さが染みついちょる」なんて言われたら、やってられないと思ってもおかしくないのに、立派な婿殿になろうとする銀二郎はえらい。司之介(岡部たかし)との相撲でもわざと負けていたし。

 そんな銀二郎もトキの前では少しだけ自分を出せる。それが距離を空けて座る2人になってしまうのは観ていてせつない。格下と言われたことを銀二郎は気にしているし、入り婿の気苦労が、繊細な青年を予想外の行動に駆り立てないか心配だ。

■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK

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