『新東京水上警察』日下部役で複雑な感情を体現 加藤シゲアキの“表現者”としての現在地

執念とまっすぐな熱血さで、怪しい人物は決して逃さない。そんな刑事・碇(佐藤隆太)の近くで、また別の闘志を燃やしている人がいる。警視庁捜査一課から新東京水上警察署へ異動となった日下部(加藤シゲアキ)だ。
捜査一課といえば、誰もが憧れる部署と言えるだろう。記憶に新しいところだと、同じ火9ドラマ『スティンガース 警視庁おとり捜査検証室』(フジテレビ系)の乾(藤井流星)も、捜査一課から囮捜査検証室への異動を命じられ憤慨していた。日下部も同じく、同期の中ではエリートと言われており、念願の捜査一課に配属されたにもかかわらず、新しくできたよくわからない警察署に飛ばされてしまったのだ。

だから今の日下部の頭の中は、捜査一課に戻ることでいっぱいだ。密かに付き合っている海技職員の礼子(山下美月)に投げやりなプロポーズをしてまで、一刻も早く異動したいと思っている(そんな日下部の考えを見破って、プロポーズを本気で受け取らない礼子との関係性がまた良いのだが……)。
署の発足式にやってこない新たな上司・碇に対する不信感も強い日下部は、とにかく捜査一課に戻るため、ひたすら目の前にある事件を見つめ、懸命に仕事をこなそうと決意する。終始険しい顔をしていたが、そう決めた瞬間の顔は晴れやかだった。そんな日下部の野心はチームのメンバーから見れば一目瞭然のようだが、それでも日下部を邪険にせず、受け入れて面白がる雰囲気もまた温かい。





















