岡田将生「作品一つ一つが繋がっていく」 逆らってはいけない“流れ”の中で見つけたもの

今は「分からないほうが面白い」と思える

――他のエピソードで特に印象に残っているシーンはありますか?
岡田:第2章の焚き火のシーンが大好きです。ドラマ版でも特に好きなシーンでしたが、映画だとよりいいんだろうなと思います。観ていると、止めどなく想いがこみ上げてきて、いろんなことを連想させてくれる。皆さん生きていく中で大きな悲しみを、抱えたことはあると思うんです。焚き火のシーンは、自然とその感情を呼び起こして、その上で癒やしてくれたというか。自分には深く刺さりました。
――焚き火のシーンは、心を回復させる象徴のようにも感じられます。岡田さんご自身にとって、そういった自分の心を持ち直させてくれるようなものはありますか?
岡田:家に2匹いる猫ちゃんですかね。猫たちがやっぱり日々の疲れであったり、何かしら抱えたストレスを浄化してくれます。それは何か相手に求めていることではないんですけど、癒やしをもらっています。

――30代半ばを迎え、仕事への向き合い方に変化はありましたか?
岡田:確実に20代のときよりこの仕事がより好きになりました。昔はもっと答えを求めていましたが、今は「分からないほうが面白い」と思えるんです。俯瞰的に物事を見られるようになったのはちょっとあるかな。作品全体の中で、自分のキャラクターがどう作用していくかというのをより考えるようになった気はします。

――今後のキャリアで、挑戦していきたい役柄やジャンルはありますか?
岡田:基本的にオールジャンルで、何でもやりたいなって思います。社会派と言われる作品にも触れていきたいですし、アート系も、もちろんエンタメも大好きです。そこにあまりこだわらず、なんていうんだろう、逆らってはいけない「流れ」があったりして。無理にその流れに逆らってまで「これをやりたいんだ」っていうものに出会うときほど幸せなものは多分ないんですけど、そういうタイミングを逃さないようにしたいなと思ってます。NHKで再放送がスタートした『昭和元禄落語心中』もすごく大切な作品の一つなのですが、このときに「業(ごう)」みたいなものを背負った感覚がありまして。毎日落語と向き合った日々は、僕にとっては“超青春”で、全力で作品に向き合う大切さを知った作品でもあったんです。絶対に手を抜いてはダメなんだと。今はこれまで出演させていただいた作品一つ一つが繋がっていく感じがしています。
■公開情報
『アフター・ザ・クエイク』
テアトル新宿、シネスイッチ銀座ほかにて全国公開中
出演:岡田将生、鳴海唯、渡辺大知、佐藤浩市、橋本愛、唐田えりか、吹越満、黒崎煌代、黒川想矢、津田寛治、井川遥、渋川清彦、のん、錦戸亮、堤真一
監督:井上剛
脚本:大江崇允
音楽:大友良英
プロデューサー:山本晃久、訓覇圭
アソシエイトプロデューサー:京田光広、中川聡子
原作:村上春樹『神の子どもたちはみな踊る』(新潮文庫刊)
製作:株式会社キアロスクロ、NHK、株式会社NHKエンタープライズ
制作会社:株式会社キアロスクロ
配給:ビターズ・エンド
©2025 Chiaroscuro / NHK / NHKエンタープライズ
公式サイト:https://www.bitters.co.jp/ATQ/
公式X(旧Twitter):@ATQ_movie





















