『エイリアン:アース』はファンならずとも必見 不気味なクリーチャーと重厚な人間ドラマ

1979年に1作目が公開され、その後大人気シリーズとなった『エイリアン』。そのシリーズ初のドラマシリーズである『エイリアン:アース』がディズニープラスで独占配信中だ。映画批評家サイト「Rotten Tomatoes」では、批評家スコア93%フレッシュという、『エイリアン』シリーズの中で、『エイリアン2』に次ぐ、高評価を獲得(※9月30日時点)。8月13日に第1話と第2話の配信が開始され、9月24日にシーズンフィナーレを迎えた本作。『エイリアン』シリーズのファンはもちろん、オリジナリティと緊張感あふれる展開に、ファンならずともどっぷりと浸ることができるサバイバルスリラーに仕上がっている。
舞台は2120年。映画1作目で描かれた世界の2年前だ。地球は各国政府ではなく、プロディジー社、ウェイランド・ユタニ社をはじめとする5つの巨大企業によって統治されていた。そして人間たちは、もともとは人間で部分的に機械のサイボーグや、人工の肉体にAIを埋め込んだシンセティック(通称:シンセ)と共生している。そんななか、プロディジー社のCEOで若き天才ボーイ・カヴァリエ(サミュエル・ブレンキン)は、シンセに人間の意識を移植した新種、「ハイブリッド」を生み出す。不治の病の少女マーシーの意識を埋め込んだプロトタイプ、ウェンディ(シドニー・チャンドラー)は成功例となり、その後、同じように重い病気を患った少年少女の意識を移植した5体のハイブリッドが誕生した。
しかしある日、5種の未知の生命体を載せたユタニ社の宇宙船がプロディジー・シティに墜落。実の兄であるハーミット(アレックス・ロウザー)がその救助活動に駆り出されたと知ったウェンディは、船内には危険な生物が野放しになっているとも知らず、ほかのハイブリッドたちとともに救援を志願する。
配信作品ならではの容赦ないグロテスク描写
物語序盤では、墜落した宇宙船および宇宙船が激突した建物からの救助活動が描かれる。ハーミットたちの部隊は民間人を救出しながら、未知の生命体たちと邂逅することになる。ここではシリーズの伝統芸とも言えるゼノモーフの大暴れ、残虐な生態が余すところなく描かれ、シリーズのファンは否が応でもテンションが上がってしまうことだろう。ここまでグロテスクな描写は、やはり配信作品でなければできない。ゼノモーフがわかりやすく恐怖を与えてくるのに対し、墜落した宇宙船の乗組員だったサイボーグのモロー(バボー・シーセイ)の不気味さもまた目を引く。
また『エイリアン:アース』は、これまでのシリーズでは観たこともないようなアクションシーンも魅力の1つだ。とくにウェンディとゼノモーフの一騎打ちシーンは必見。ここまでゼノモーフを翻弄したアクションシーンは今までにあっただろうか、と考えを巡らせる暇もないほどの息を飲む展開の連続。不死身のハイブリッドであるウェンディの強さと、必死に兄を守ろうとする少女マーシーの心がひとつになると、とてつもない力を発揮できるのだ。しかしこれは、ハイブリッドの可能性と同時に恐ろしさを感じさせるシーンでもある。
ユタニ社が地球に持ち帰ろうとしたゼノモーフを含む“5種の未知の生命体”は、それぞれになかなか個性的で、不気味で恐ろしい。なかでも注目なのは、「目玉エイリアン」ことT.オセルスだ。一見コミカルな印象も受けるビジュアルだが、ほかの生物に寄生しようと襲いかかってくるシーンはどれもトラウマ級の緊張感をもたらす。T.オセルスの生態は今のところほとんど不明だが、高い知能を持っているようだ。「“自分より”賢い相手と話してみたい」と驕った夢を語っていたカヴァリエは、このT.オセルスに強い興味を抱くようになる。
























