『もしがく』金城綾香Pが明かす制作秘話 三谷幸喜脚本の魅力と菅田将暉らの起用理由

『もしがく』金城綾香Pが明かす制作秘話

菅田将暉率いる現場は、“劇団”のような一体感

ーー主演の菅田将暉さんをはじめ、二階堂ふみさん、神木隆之介さん、浜辺美波さんら主要キャストを選んだ決め手を聞かせてください。

金城:最初に三谷さんから「僕のドラマのイメージがあるので、喫茶店に来てください」と呼ばれたんです。そこでいただいたのが、まるで香盤表のような資料でした。地図のように舞台となる街の劇場の位置が描かれていて、各話のタイトルや登場人物まで書かれていたんです。そこから上がってくる原稿と照らし合わせながら、三谷さんと一緒にキャストを考えていきました。入り口となったのは、「菅田さんで連ドラをやりたい」という三谷さんの一言です。二階堂さんが演じる倖田リカは、昭和的な香りを漂わせつつ、クレバーで視聴者を翻弄する役どころ。さらにダンスシーンも多いので、美しく踊れる方でなければならない。その条件を満たす方として二階堂さんにお願いしました。

ーーキャストの演技をご覧になって、それぞれどんな印象を受けましたか?

金城:菅田さんについては、失礼を承知で言うと(笑)、菅田さんが演じる久部は、今60〜70代の元気なおじさんの若い頃ってこんな感じだったんだろうなと思ったんです。思ったことをすぐ口にして、タバコやお酒を楽しんで……そんな下町の若者像を、90年代生まれの菅田さんが見事に体現されている。そこに圧倒されました。二階堂さんは、洞察力の鋭さが本当にすごい。役作りのアイデアが次々と湧き出てきて、私たちスタッフにとって恥ずかしながら大変勉強になりました。声の張り方や立ち振る舞いも、三谷さんから参考にと渡された80年代ドラマに通じる雰囲気があって。髪型に関してもご自身の発案で実際にパーマをかけに行かれたのですが、驚くほど似合っていて、創造力の豊かさに感服しました。神木さんは、クランクイン前に三谷さんとお話しする機会があり、舞台の稽古場で3人で話したんです。その時は神木さんもかなり緊張されていて(笑)。でも撮影に入ると見事にお芝居を決めてくださって、素顔とのギャップが際立っていました。浜辺さんは、昭和のちょっと奇抜なデザインの衣装を着てもすべて自分のものにされてしまう。さらに、美しい方なのに表情を崩すことを恐れず、白目をむいたり大きなため息をついたり、大きいリアクションを見せてくれる。瞬発力があり、コメディセンスも抜群で、まだ20代なのに、この先どういう作品でまた違う表情を見せてくださるのか、楽しみです。

ーー現場の雰囲気や、座長である菅田さんの立ち振る舞いについてはいかがでしたか?

金城:雰囲気は劇団に近かったと思います。練習している人がいれば、ふざけている人もいる。食事をしている人もいれば、他の仕事から駆け込んでくる人もいる。学生時代に演劇部だった私からすると、とても懐かしい空気でした。また、今回の台本自体が「主役だけが突出して喋る」というものではなく、むしろ全員が同じくらいの分量を担う脚本なんです。菅田さんが登場しないシーンもあり、座長でありながら全員がのびのびと輝ける現場を作ってくださった。菅田さんご自身の気配りのおかげもあって、みんなが楽しく過ごせたのだと思います。

ーー金城さんが“個人的な推しキャラ”と“物語的に注目してほしいキャラ”を挙げるとすれば、どの登場人物になりますか?

金城:もちろん全員を推していますが、個人的に印象深いのは、福井夏さん演じるチケットもぎりの毛利里奈です。初日からしっかりキャラクターを作り込んでいて、その芝居に菅田さんや神木さんが自然と乗っかって、お芝居全体がどんどん広がっていった。とても度胸のある女優さんだと感じました。物語的に注目していただきたいのは、浜辺美波さん演じる樹里です。彼女はストーリーが進むにつれて、少しずつ考え方や姿勢が変化していきます。その変化が物語と密接にリンクしているので、彼女の成長に注目しながら観ていただけると、ドラマをさらに楽しんでいただけると思います。

『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』の画像

もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう

本作は、1984年の渋谷を舞台にした青春群像劇で、三谷の半自伝的要素を含んだ完全オリジナルストーリー。

■放送情報
『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』
フジテレビ系にて、10月1日(水)スタート 毎週水曜22:00~22:54放送
※初回30分拡大(22:00~23:24放送)
出演:菅田将暉、二階堂ふみ、神木隆之介、浜辺美波、戸塚純貴、アンミカ、秋元才加、野添義弘、長野里美、富田望生、西村瑞樹(バイきんぐ)、大水洋介(ラバーガール)、小澤雄太、福井夏、ひょうろく、松井慎也、佳久創、佐藤大空、野間口徹、シルビア・グラブ、菊地凛子、小池栄子、市原隼人、井上順、坂東彌十郎、小林薫ほか
脚本:三谷幸喜
主題歌:YOASOBI「劇上」(Echoes / Sony Music Entertainment (Japan) Inc.)
音楽:得田真裕
プロデュース:金城綾香、野田悠介
制作プロデュース:古郡真也
演出:西浦正記
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/moshi_gaku/
公式X(旧Twitter):@moshi_gaku
公式Instagram:@moshi_gaku
公式TikTok:@moshi_gaku

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる