上白石萌音が當真あみの“澪標”に 『ちはやふる-めぐり-』後半戦は“団体戦”で幕開け

「専任読手になって千早ちゃんのクイーン戦で読手をする」と、瑞沢高校時代に奏(上白石萌音)が掲げた夢は、10年の歳月が流れ千早(広瀬すず)がクイーンとなったいまも叶えられないまま。しかし奏は、梅園高校かるた部の部員たちとの関わりを通し、一度あきらめかけていた夢にもう一度向かうことを決める。
8月13日に放送された『ちはやふる-めぐり-』(日本テレビ系)。後半戦の幕開けとなる第6話は、そんな彼女の新たな旅立ちまでの日々を追う。
休中だった島(波岡一喜)が復職したことにより、非常勤講師としての契約が終了した奏は、コーチとしてかるた部に残ることとなる。そして迎える新年度の4月。めぐる(當真あみ)たちかるた部のメンバーは5人全員が3年生となり、袴姿で新入部員の勧誘に奔走。しかし結局、部室の扉を叩いたのは八雲(坂元愛登)ただ一人。常に前髪を気にし、袴が着たいという理由だけでやってきた八雲だったが、実はかるた会に所属している経験者。しかも梅園かるた部にまだ一人もいなかったA級選手であることが発覚するのだ。

新入部員が“めんどくさい”キャラというのは、『ちはやふる』シリーズにおいて定番中の定番。瑞沢でも、千早や奏たちが進級(原作では2年生だったが、映画版では3年生の時に脚色されていた)した際に入ってきた筑波(佐野勇斗)と花野(優希美青)はなかなか扱いづらい曲者だった。とはいえ八雲の場合は、キャラが強い一方で、現状の梅園かるた部には必要不可欠な即戦力。これは確実に物語を動かす存在となりうるのだろう。もっとも、新入生が八雲一人だけとなると、めぐるたちの引退後の部が心配になってくるのだが。

それはさておき、新入部員が加わるのと同じタイミングで、奏は専任読手で古典研究者の中西(富田靖子)から、彼女の研究室の助手にならないかと誘われる。またとないチャンスだが、そのためには梅園高校を離れて京都へと行かなければならず思い悩む。偶然にもそれを知ってしまっためぐるは、寂しさを感じながらも奏が夢を追うことを尊重しようと考えるようになり、引き留めようとする千江莉(嵐莉菜)や草太(山時聡真)と衝突してしまうのである。
前回の第5話では、めぐるが両親とのあいだにずっとあったわだかまりを解消し、「おおえやま」の歌をもって子離れ/親離れという自然発生的かつ心理的なものを引き出したわけだが、今回は教師と教え子が離れ離れになるかどうかという葛藤のなかへ。だが考えてみると、物理的な距離が生じてこれまでのようにいかなくなるとはいえ、奏と梅園かるた部の師弟関係は揺らぐものではない。自分たちと同じように夢を追う権利を持った師をどう晴れやかに送りだすか。

そこで部員たちは、自分たちの成長を見せるために昇級を目指していく。ドラマ前半戦のエピソードは部員たち各々のバックグラウンドを中心に全体像が徐々にかたちづくられていくという“個人戦”だったが、奏個人のエピソードに注力した今回は、部員たち全員が一致団結して一つの目標へと向かう一歩目。すなわちドラマ後半戦は、さながら“団体戦”というわけだ。

エピソードタイトルに選ばれたのは、中納言行平の〈たちわかれ いなばのやまの みねにおふる まつとしきかば いまかへりこむ〉。都を離れて地方へと赴任する行平が、都への惜別の思いを詠んだ歌である。これの下の句の札を、部室の本棚にそっと忍ばせて「いつか帰ってきてくれますように」という願いを込めたおまじないをするめぐる。またもう一つ、「みおつくし」も今回のキーワードとなる。「わびぬれば」と「なにはへの」の歌に登場するそれは、航路を示す“澪標”であり、“身を尽くし”と掛詞になっているものだ。

めぐるがかるた部に入ることを決めた際に、“かるたで宝物を見つけた人には10年先で明るい未来が待っている”というエビデンスに、“身を尽くし”てなることを誓った奏。部室にある『源氏物語関屋澪標屏風』を前に、「私が藍沢さんの澪標にならなきゃいけなかったのに、いつのまにか逆になっていました」とめぐるに告げる奏。何も言わないめぐるだが、この奏とのしばしの別れをきっかけにして、奏での“徳の積立投資”を受け継いだり、夢を追う者の清々しい表情を見たり。かるた部に導いてくれただけでなく、まだ未来が見えていないめぐるにとって、奏はたしかな“澪標”になっていることが窺えるのである。
2016年から2018年にかけて公開された映画『ちはやふる』シリーズの10年後の世界を舞台にした作品。廃部の危機にある梅園高校・競技かるた部の藍沢めぐるが、顧問として赴任してきた大江奏と出会い、成長していく。
■放送情報
『ちはやふる-めぐり-』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:當真あみ、原菜乃華、齋藤潤、藤原大祐、山時聡真、大西利空、嵐莉菜、坂元愛登、高村佳偉人、橘優輝、石川雷蔵、瀬戸琴楓、髙橋佑大朗、藤枝喜輝、大友一生、漆山拓実、上白石萌音、内田有紀、要潤、榎本司、富田靖子、高橋努、波岡一喜、髙嶋政宏
ショーランナー:小泉徳宏
監督:藤田直哉、本田大介、松本千晶、吉田和弘
脚本:モノガタリラボ(小坂志宝、本田大介、松本千晶)、金子鈴幸
プロデューサー:榊原真由子、巣立恭平、中村薫、平田光一
企画・プロデューサー:北島直明
チーフプロデューサー:松本京子
音楽:横山克
主題歌:Perfume「巡ループ」(UNIVERSAL MUSIC LLC)
制作協力:ROBOT、ウインズモーメント
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/chihayafuru-meguri/
公式X(旧Twitter):https://x.com/chihaya_koshiki
























