『DOCTOR PRICE』は岩田剛典の“代表作”となる 作品間で連動する“野球”が導く演出

同様にグラウンド近く、なおかつツーショットという条件下で『DOCTOR PRICE』第2話終盤でも主演ドラマらしい大粒の輝き(演技)がある。同話の依頼者である消化器外科医・安斎悠人(尾上寛之)の転職がうまく運び、草野球仲間同士でグラウンド近くを並んで歩く場面。カメラは最初、昼練に打ち込む選手たちがいるグラウンドを映し、カット頭で上手から下手へパンする。そうして画面奥から歩いてくる鳴木と安斎をロングショットで中央に捉える。新名とは逆に鳴木は左手に位置する。二人の会話中にカメラが寄る。さらに今度は手持ちではなくフィックス画面。カメラが後退移動するトラッキングショットで捉えるのは、岩田の頭と肩に時折差し込む木漏れ日だ。主演俳優の頭上でちらちら移ろうこの陰影。何て映画的なワンショットなんだ。3カット目、木漏れ日パワーをチャージしたかのように晴れやかな岩田がそそと微笑む瞬間も見逃せない。ここで重要なのは映画的躍動感を演出するこの木漏れ日ショットが、カメラが被写体を誘導するように後退移動する“ひっぱりの画面”になっていること。

2021年にソロアーティストデビューした岩田がパリ滞在中にマネージャーと二人だけで撮影したという「モノクロの世界」ミュージックビデオ「Official MV Making」を観ると、川沿いで岩田自ら「こういうひっぱりでずっとリップやろうか」と指示する一幕がある。セルフプロデュース力に長けた岩田らしい。自分が映る最良の画面とそのサイズ感を本能的に熟知している。映画、ドラマ、MV問わず、被写体としての岩田剛典がどんな画面サイズ、どんな瞬間のショットで輝くのか、筆者は定期的に対面する取材現場でマニアックな視点から細かく本人に伝えるようにしている。
岩田本人は毎回「なるほど」と深い余韻の笑みを浮かべるのだが、特に2025年2月にリリースされたシングル曲「Phone Number」についてのインタビュー(岩田剛典、「Phone Number」は「削ぎ落とされた中の最後の一滴」 多彩な活動を続けるための美学)では「動画、写真に限らず、どのような絵になるかのイメージは、長年の経験上、体感としてあります」という明言を得た。『DOCTOR PRICE』第2話でここぞいう瞬間にきらめく木漏れ日の“ひっぱりの画面”は、まさにその「体感」が岩田剛典の存在感を際立たせ、それが代表作に相応しい最高度の画面だと強調しておきたい。
岩田剛典、「Phone Number」は「削ぎ落とされた中の最後の一滴」 多彩な活動を続けるための美学
EXILE / 三代目 J SOUL BROTHERS(以下、三代目 JSBのパフォーマーであり、俳優、ソロアーティストとして多…同名漫画シリーズを原作とした医療サスペンスドラマ。元医師の主人公・鳴木が狙うのは、病気を抱える”患者”ではなく、転職したい”医師”。医療業界に潜む“悪”を裁き、大金を巻き上げる“ダークヒーロー”の姿を描く。
■放送情報
『DOCTOR PRICE』
読売テレビ・日本テレビ系にて、毎週日曜22:30~放送
出演:岩田剛典、蒔田彩珠、三浦貴大、成海璃子、北山宏光、林泰文、坪倉由幸、ユースケ・サンタマリア、篠原涼子
原作:原作・逆津ツカサ/作画・有柚まさき『DOCTOR PRICE』(双葉社 アクションコミックス)
脚本:小峯裕之、本田隆朗
演出:山本大輔、木村ひさし
音楽:河野伸
主題歌:Omoinotake「フェイクショー」(Sony Music Labels)
チーフプロデューサー:中間利彦
プロデューサー:多鹿雄策、髙橋亜美花(スタジオブルー)、平体雄二(スタジオブルー)
制作協力:スタジオブルー
制作著作:読売テレビ
©︎読売テレビ
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