『鬼滅の刃 無限城編』異次元のロケットスタートを分析 カギを握る「途中参入のしやすさ」

7月18日より公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(以下、『無限城 第一章』)が、オープニング成績、初日成績、単日成績の歴代No.1を達成した。
『鬼滅の刃 無限城編 第一章』日本映画史上、3つの興行成績記録更新 興行収入は73.1億円に
7月18日より公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が、オープニング成績、初日成績、単日成績の歴代No.1…7月18日から20日の公開3日間で観客動員384万3613人(興行収入55億2429万8500円)を記録。2020年10月に公開し日本映画として歴代No.1のオープニング成績、初日成績、単日成績の記録を更新した『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(公開3日間 観客動員342万人、興行収入46.2億円)の記録を塗り替え、日本で公開された映画史上でオープニング成績、初日成績、単日成績という、3つの記録を更新した(興行通信社調べ)。また、7月21日を含む公開4日間では観客動員516万人、興行収入73.1億円を記録した。
本作の異例の大ヒットについて、Webメディア「Branc」の編集長を務め、実写やアニメーションなど幅広いジャンルを横断する映画ライターである杉本穂高氏は「類を見ない」と語る。

「今回の記録は、『君の名は。』(2016年)や『ONE PIECE FILM RED』(2022年)などの公開時とは比較にならないレベルで飛び抜けています。まさか『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(以下、『無限列車編』)(2020年)を超える勢いになるとは正直、僕も予想していなかったです。4月18日に公開された『名探偵コナン 隻眼の残像』(2025年)も初日3日間で34億円のロケットスタートでこれも相当にすごい成績ですが、それがかすんでしまうほどで尋常ではありません。今回の記録は異次元ですし、これはもう『鬼滅の刃』シリーズ以外ではありえない記録だと思います。ヒットの要因を問われても、もはや“『鬼滅』がすごすぎる”としか言えないレベルです。この記録がどこまで伸びるかという点についてもあまりにも異次元すぎて予測がつかないです。4日で73億円というのは、日本国内ではもはや比較対象が存在せず、むしろ北米の大作映画が出す数字に近いです。2025年に公開された映画だとブラッド・ピット主演の『F1/エフワン』(2025年)の北米オープニング興収が北米3日間で約80億円くらいでしたけど、それに近い数字を4日間かけたとはいえ日本国内だけで記録しているというのは、本当にすごいことです」

また、社会現象となりつつある『無限城 第一章』の盛り上がりについて、以下のように分析した。
「あれだけの上映回数にもかかわらず、満席続出ということに驚きました。しかも、ファミリーから10代、20代、大人まで、幅広い世代から集客できている。特定の世代だけでは、この数字は出せないと思います。SNSでは一部上映中のマナーについても議論が起こっていましたが、普段映画館に行かない人も多く来ているという証拠だと思います。もちろんマナーは守ってほしいですが、僕自身は映像がすごかったので全く気にならなかったです。本作の公開直前に上映されていた『鬼滅シアター』に関しても、再上映で、しかも配信でも観られる内容であるにもかかわらずランキングにも入っていたというのは、作品自体の力を感じますね。特別変わったキャンペーンやプロモーションを行なったわけでもなく(オーソドックスに大量露出はしているし、コラボも多い)、原作もすでに5年前に完結しているなかで、ここまで売れているのは、もう作品の自力としか言いようがないです。今回の大ヒットでまた新しいファンを獲得するでしょうし、原作も全23巻という比較的短いシリーズなので、『ONE PIECE』のような大長編作品に比べて途中参入しやすいという点も大きな強みですね。現状、勢いが落ちる要因が見当たらないですし、第二章、第三章で今回の記録を超える可能性もあると思います」





















