『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』は2025年を象徴する一本 “圧倒的映像美”を大画面で体感

以下、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の核心に触れる内容を含みます。
『鬼滅の刃』の全編を通して、筆者をはじめ原作ファンの多くが「アニメで観たい」と切望していた戦いが、上弦の弐・童磨と虫柱・胡蝶しのぶの対決ではなかろうか。氷を自在に操る血鬼術を駆使する童磨と、しのぶが自らの命と毒を賭して挑む戦いは、まさに美と毒が激しくせめぎ合う珠玉の名勝負。2人の繰り出す技の鮮烈な対比が視覚的にも圧倒的で、劇場の大スクリーンに映える演出として結実していた。

これまで、童磨は登場シーンこそ限られていたものの、穏やかな微笑みの奥に底知れぬ残酷性を宿したキャラクターとして描かれてきた。本作ではその生い立ちにも踏み込んだ描写が織り込まれ、ようやく彼の異常性の根本が浮き彫りになる。
宮野真守が得意とする“狂気の演技”が童磨に魂を注ぎ込んだことで、映像を通してより鮮烈に、その異常性と底知れぬ不気味さを体感したファンも多いことだろう。「毒って、おもしろいね。癖になりそう」「次の調合なら、効くと思う?」そんな無邪気な台詞の一つひとつが、しのぶの怒りと悲しみを浮き彫りにしていく。早見沙織が演じるしのぶの張り詰めた声音との対比も秀逸で、観る者の“呼吸”を止めるような緊張感が劇場を包んでいた。「CV:宮野真守」のイメージで原作を読み進めていたファンにとって、劇場で童磨戦を目の当たりにできたことは、それだけで至福の体験だったのではないだろうか。
ここまで作品の各要素を見てきたが、総じて『無限城編 第一章』は間違いなく劇場アニメとしての完成度を究めた傑作だった。近年、人気原作のアニメ化については様々な意見が飛び交うことも多いが、本作はそうした議論を一蹴するほどの、アニメーションならではの魅力と表現力に満ちている。
現在進行形で更新され続けるアニメーション技術の頂点を、自分の目で確かめるつもりで劇場に向かってほしい。
■公開情報
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』
全国公開中
キャスト:花江夏樹(竈門炭治郎役)、鬼頭明里(竈門禰󠄀豆子役)、下野紘(我妻善逸役)、松岡禎丞(嘴平伊之助役)、上田麗奈(栗花落カナヲ役)、岡本信彦(不死川玄弥役)、櫻井孝宏(冨岡義勇役)、小西克幸(宇髄天元役)、河西健吾(時透無一郎役)、早見沙織(胡蝶しのぶ役)、花澤香菜(甘露寺蜜璃役)、鈴村健一(伊黒小芭内役)、関智一(不死川実弥役)、杉田智和(悲鳴嶼行冥役)
原作:吾峠呼世晴(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン・総作画監督:松島晃
脚本制作:ufotable
サブキャラクターデザイン:佐藤美幸、梶山庸子、菊池美花
プロップデザイン:小山将治
美術監督:矢中勝、樺澤侑里
美術監修:衛藤功二
撮影監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:大前祐子
編集:神野学
音楽:梶浦由記、椎名豪
主題歌:Aimer「太陽が昇らない世界」(SACRA MUSIC / Sony Music Labels Inc.)・LiSA「残酷な夜に輝け」 (SACRA MUSIC / Sony Music Labels Inc.)
総監督:近藤光
アニメーション制作:ufotable
配給:東宝・アニプレックス
©︎吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
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